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直下地震対策に甘さはないか

大阪府北部を中心に最大震度6弱の地震が起き、多くの死傷者が出た。2年前の熊本地震などと比べて地震の規模は小さいが、広い地域で都市機能がまひし、被害を広げた。直下地震への備えに甘さはないか。被災地だけでなく全国の都市で総点検すべきだ。

地震は18日午前8時前に起き、気象庁によればマグニチュード(M)6.1だった。M7級だった1995年の阪神大震災や熊本地震よりも規模は数段小さいが、都市機能への影響は大きかった。

プールの壁や塀が崩れて死者が出たほか、落下物などによる負傷者は数百人に達し、エレベーターに閉じ込められた人も続出した。交通機関が止まって通勤・通学が混乱し、百貨店の休業や工場の操業停止も相次いだ。

気象庁は今後2、3日程度は規模の大きな地震が続発する恐れがあるとして、警戒を呼び掛けている。地震で傷んだ建物や地盤が、新たな揺れや雨などで崩れる恐れもあり、二次災害への注意も怠れない。

今回の地震は直下地震への都市のもろさを浮き彫りにした。耐震基準を満たさない建物だけでなく、古い塀や壁なども点検や補修を急ぐべきだ。ハード面の対策だけに頼らず、通学路や避難路は危険な構造物の近くを避けるなど、ソフト面の対策強化も要る。

医療機関でも、非常用電源が使えなかったり機材が不足したりする病院があった。災害時に拠点となる施設がこれでは困る。企業も物流の要やバックアップ拠点が機能したのか、事業継続計画(BCP)を点検すべきだ。

日本の都市ではM6~7の地震がどこでも起こりうる。とくに政治や経済活動が集中する首都圏では今回の地震から教訓を導き、対策見直しに生かす必要がある。

西日本でも次の南海トラフ地震が近づいているとみられ、それに伴う内陸地震が増えている。今年4月の島根県西部地震でも人や建物の被害が出た。地震をよそ事と考えずに対策を強めるときだ。

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