2019年4月25日(木)

信頼される再審制度のために

2018/6/16 23:48
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いったい、どう受け止めればいいのだろうか。同じDNA型鑑定をめぐり、ある裁判所は元被告が無実である証拠だといい、別の裁判所はすでに確定した死刑判決に何の影響も与えないという。

1966年、静岡県で一家4人が殺害された。この事件で死刑が確定した袴田巌元被告について4年前、静岡地裁が裁判をやり直す再審の開始を決めた。

その最大の決め手が、袴田元被告が犯行当時に着ていたとされるシャツに付いた血痕のDNA型だった。弁護側が推薦した鑑定人の鑑定では、元被告や被害者のものと一致しなかった。

ところが検察の異議申し立てを受けて審理していた東京高裁は先ごろ決定を下し、弁護側の鑑定のやり方について「深刻な疑問が存在する」と信用性を否定。静岡地裁の再審開始決定を取り消した。弁護側は最高裁で争うという。

審理する裁判官が違えば、異なる事実の認定や判断がなされることはありうる。それにしても、同じ証拠から死刑か無実かという正反対の結論が導かれるようでは司法の信頼を揺るがしかねない。

科学捜査や鑑定の重要性は今後ますます高まる。「科学」の限界や危うさを含め、正しい認識を裁判官、検察、弁護士の司法界全体で共有する必要がある。特に「威力」を増しているDNA型については、裁判で争点になった場合、中立性の高い鑑定が行われる制度などを検討していきたい。

結論にかかわらず、再審を始めるかどうかという段階で長い年月がかかるのは大きな問題だ。今回の再審請求でも静岡地裁が再審を認めるまで6年、高裁がそれを覆すのに4年を費やした。

証拠開示の判断が検察に委ねられているなど、再審のルールが明確化されていないことが背景にある。無罪につながるような新たな証拠が見つかり、一度再審の開始が決まったらその扉の外で延々と争うのではなく、すみやかに再審裁判に移る仕組みに改めるべきではないだろうか。

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