2018年10月20日(土)

米利上げ加速のかじ取り問われるFRB

2018/6/15 1:05
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米連邦準備理事会(FRB)が、2018年に入ってから2回目の利上げに踏み切った。年内にあと2回というシナリオを中心に据えており、15年と16年の年1回ずつを大きく超え、17年の年3回よりも増える可能性が出てきた。

利上げの加速が米経済や世界経済の腰を折らぬよう、パウエル議長は細心の注意を払ってほしい。米金融政策の影響を強く受ける新興国も、長期金利の上昇やドルへの資金回帰といった逆風に備えなければならない。

トランプ政権が実施した大型減税や歳出拡大の効果もあって、米経済は底堅い回復を維持している。失業率は18年ぶりの低水準を記録し、物価上昇率は前年比2%の目標に到達した。

景気の過熱やインフレを未然に防止するため、13日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%の追加利上げを決めたのは妥当だ。18年の中心的な利上げシナリオを、年3回から年4回に修正したのも理解できる。

FRBは景気と物価の動向を十分に見極めながら、利上げのピッチを上げるかどうかを慎重に判断すべきだ。市場との対話にも万全を期し、不測の事態を招かぬよう注意してもらいたい。

FRBが利上げを加速すれば、米長期金利が上昇し、アルゼンチンやトルコのような新興国からの資金流出に拍車がかかりかねない。こうした国々が経済の構造改革を急ぎ、ショックへの耐久力を高める必要もある。

いまの米経済には上振れだけでなく、下振れの懸念も併存する。パウエル議長は13日の記者会見で、米国と主要国との貿易摩擦に警戒感をにじませた。

トランプ政権は日本や欧州などから輸入する鉄鋼とアルミニウムに高率の追加関税を課し、これを自動車にも広げる検討を始めた。中国の知的財産権侵害に対する制裁関税も準備している。

保護貿易の広がりが米経済や世界経済の回復を妨げかねない。FRBはその懸念にも目配りし、利上げのペースを柔軟に調節しなければならない。

15年末に始まった米国の利上げ局面は2年半に及ぶ。政策金利の到達点を探る議論も本格化するだろう。パウエル議長は19年から、年4回の記者会見を年8回に増やすという。FRBの意図を市場に十分織り込ませながら、利上げを過不足なく進めてほしい。

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