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春秋

マルス。かつての国鉄や今のJRで列車の指定券などを予約・発券するシステムの略称だ。駅の窓口にあったブック式の枠が特徴の端末を覚えておられる方もいよう。駅名の穴にピンを刺す動作は一種の職人芸だった。そのマルスの歴史の展示が京都鉄道博物館にある。

▼戦後まもなくは電話や台帳を使い手作業で座席を管理したが、1960年、東京と関西を結ぶ「第1こだま」などで運用を開始。新幹線の開業や大阪万博の混雑への対応で高度化が進んだ。現行のマルスはJR各社のさまざまな旅行商品にも対応できる。大量かつ多様化する移動のニーズにあわせ発展を遂げたといえよう。

▼それにしても、この種のシステムの進歩に比べ、列車内での不測の事態への備えは、乗客への「性善説」ゆえか、長らく手薄だったのかもしれない。土曜日に起きた東海道新幹線での殺傷事件を機に、手荷物チェックの必要性などを訴える声が上がっている。すぐに乗れる便利さと安全性の両立はかなり難しい課題だろう。

▼小中学校のなかには不審者から子どもを守るため、さすまたを常備しているところも多い。実際に取り押さえた例もある。今回、車内で使えていたら、との声も聞く。五輪を控えて、種々のテロ対策にも向き合わねばならない日本の鉄道である。世界に誇るマルスを築いた底力をもってすれば、必ずや策は見つかるはずだ。

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