2018年6月24日(日)

原発への不安をどう拭うか

社説
2018/6/12付
保存
共有
印刷
その他

 新潟県知事選で自民・公明両党が支援した花角英世氏が当選した。同氏は東京電力・柏崎刈羽原子力発電所の再稼働に慎重な構えで、再稼働をめぐり地元の不安がなお強いことを浮かび上がらせた。国や東電は地元の理解を得るため一層の努力が欠かせない。

 今回の知事選は米山隆一前知事の辞職に伴う。前知事は柏崎刈羽原発の再稼働の条件として、県による福島第1原発事故の検証などが必須としてきた。花角氏もこの路線を踏襲し、2、3年かけて検証を進める姿勢を表明した。

 柏崎刈羽6、7号機は昨年12月、原子力規制委員会の審査に合格している。東電や国は地元の同意を早く得て、再稼働させたい考えだが、知事が交代しても厳しい状況は変わりそうにない。

 地元の不安が強いのは、東電が福島原発事故を起こした当事者であるからだけではない。柏崎刈羽原発では2002年、原子炉のひび割れを東電が組織ぐるみで隠していた問題が発覚した。07年の中越沖地震でも火災発生の通報が遅れ、地元は不信を募らせた。

 不安や不信を拭うには、まず安全確保へ東電の粘り強い努力が不可欠だ。国の規制基準は安全上、最低限の対策を示したものだ。東電は基準を上回る安全策を積み重ね、組織や意思決定の透明性を高めることも求められる。

 運転停止が長期化し、設備や機器の劣化も懸念されている。検査体制を強め、地元に結果をきちんと説明するのは国の役割だ。

 花角氏にも現実を踏まえた対応を求めたい。柏崎刈羽原発の再稼働の可否は東電の経営を左右し、福島原発事故の被災地の復興にも影響を及ぼす。いたずらに判断を遅らせることは避けるべきだ。

 原発問題以外でも県政には課題が多い。新潟の将来推計人口の減少率は、北陸3県より大きい。県内を訪れる外国人の数も近隣県に比べて伸び悩んでいる。新潟は政令指定都市があり、日本海側の拠点だ。新知事は地域の活性化にも全力を挙げてほしい。

保存
共有
印刷
その他


[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報