2018年6月19日(火)

介護費の膨張を負担可能な水準に抑えよ

社説
2018/6/10付
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 65歳以上の高齢者が支払う介護保険料の額が今年4月、全国平均で月5869円になった。介護保険制度ができた2000年度に比べ、2倍の水準だ。

 これから高齢化はさらに進み、介護が必要な人は増える。介護費用が膨らむのにまかせていれば、保険料は上昇するばかりだ。制度を無理なく維持できるよう、あらゆる知恵を絞るべきだ。

 高齢者の介護保険料の額は、3年に1度、各自治体が見直している。前回に比べ平均6.4%増となり、およそ8割の自治体が額を引き上げた。要介護・要支援の認定を受ける人が増え、給付が膨らんでいることが要因だ。

 今後の見通しも厳しい。厚生労働省の推計では、人数の多い団塊の世代が全員75歳以上となる25年度には保険料は約7200円となる。40年度には約9200円だ。これだけの額が年金から天引きされることとなり、高齢世帯の生活への影響は大きい。

 介護保険料は、現役世代の40~64歳も加入する医療保険制度を通じて納めている。高齢者と同様、負担が重くなりすぎては問題だ。

 介護費用の増加ペースは、医療、年金に比べても大きい。税も投入されるが、経済成長を著しく上回って増加し続ければ、制度の持続可能性を損いかねない。伸びの抑制が不可欠だ。

 まず、どこまで保険給付でカバーすべきか絞り込みが要る。軽度な人へのサービスを一部、切り離す議論が必要だろう。介護予防の取り組みで健康寿命を延ばし、できるだけ介護が必要にならないようにする策も欠かせない。過度な利用がないか自治体などがチェックすることも重要だ。

 その上で、費用を誰がどう分かち合うか、再検討すべきだ。介護保険を利用する際の自己負担は現在、原則1割で、一部の高所得者が2割だ。所得の少ない人に配慮しつつ原則2割にするのが望ましいだろう。軽度の人は原則3割にするという考え方もある。

 保険料を払う年齢を、現在の40歳以上から20歳以上に引き下げる方法もある。幅広い層が担うことで一人ひとりの負担は軽くなる。その際は、サービスの対象者を広げるなど、制度を抜本的に見直す議論も必要となろう。

 介護保険制度は、高齢者の暮らしになくてはならないものだ。だからこそ、どの世代も納得できる痛みの分かち合いを考えたい。

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