信長、幻の城 評判海越える 小牧山城(愛知県小牧市)
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2018/6/12 6:30
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戦国武将ゆかりの城が多い愛知県。国宝の犬山城や天守閣を木造復元する計画の名古屋城がよく知られるが、名古屋市中心部から車で30分ほどの小牧山城(同県小牧市)が最近は注目されている。近世城郭の先駆けと分かってきたからだ。周囲には航空宇宙関連の企業が集まり外国人労働者も多く、海外からの訪問者もじわり増えている。

小牧山城発掘調査には数多くの人が訪れた

小牧山城発掘調査には数多くの人が訪れた

小牧山は織田信長が岐阜に移る前に居城とし、1584年の小牧・長久手の戦いでは徳川家康が陣を築いた。歴史の舞台となったが、城跡としての知名度は決して高くはなかった。

その評価はこの十数年で大きく変わった。きっかけは2004年に始まった小牧山城の発掘調査だ。近世城郭の特徴である石垣の存在が分かり、「とりでにすぎなかった」という見方を一変させた。発掘調査の際に開く現地説明会には昨年、5百人が集まった。

「約450年前に信長が目にした空間を体験できることに魅力があるのではないか」。発掘調査に携わる小牧市教育委員会小牧山課の小野友記子主査は話す。城郭巡りが好きだという名古屋市の50代男性は「信長が築いた城をじっくり見たかった」と、2度目の訪問を楽しんだ。

小牧市観光協会によると、有料の観光ガイドを利用した人は17年度に千人を超え、前の年度に比べ5割ほど増えた。海外からの観光客も増えており、「アジアの団体客や南米から来た人をよく見かけるようになった」(小野主査)。

「欧米からのビジネス客も目立つ」と話すのは通訳ガイドの佐伯和夫さん。周囲には航空関連の工場で働く外国人居住者も多く、海外からの誘客の糸口となっている。

小牧市は来年度中にも小牧山城のふもとに「史跡センター(仮称)」を開設する。発掘調査の成果を展示し、小牧山や周囲の案内など情報提供の場にする。観光協会も4月、無料ガイドツアーを月2回から毎週土曜日に増やした。

「歴史好きだけのブームに終わらせず、小牧市内にできるだけ長くとどまってもらいたい」。観光協会の名坂敏彦事務局長は強調する。4月には30~40代の女性をターゲットにガイドブックを作成。小牧山城だけでなく、周囲の飲食店やみやげ、パワースポットなどを掲載した。小牧山への注目が高い今、幅広い層へと遡及できるかが人気持続へのカギとなりそうだ。

(名古屋支社 三輪恭久)

[日経MJ 観光・インバウンド面 2018年6月10日付]

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