2018年9月24日(月)

見直しを迫られる高速炉開発

2018/6/8 1:09
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 フランスが次世代原子炉である高速炉「アストリッド」の開発計画を縮小する方針を示した。高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉を決めた日本は、仏の計画への参加を通して技術開発を続ける予定だったが見直しを迫られる。安易な海外依存の危うさを露呈した。

 アストリッドは2010年に開発に着手した。20年以降の工程は未定だったが、出力を当初予定の60万キロワットから15万キロワット前後に下げる。もんじゅの想定出力を下回り、将来の商業炉開発に必要なデータを得られない懸念がある。

 日本は16年にもんじゅを廃炉にする一方で、使用済み核燃料を再利用する核燃料サイクルの中核をなす高速炉の開発は続けることを決めた。資源の有効利用や余剰プルトニウム処理のためにも研究の継続は必要だとした。

 原子力研究で以前から良好な関係にある仏のアストリッド計画は、自前の炉を断念した日本にとって「渡りに船」に映った。

 しかし、原子力産業の再編や国内の原子炉建設計画の遅れへの対応に追われる仏にとり、アストリッド計画の優先度は高くなかった。早くから見直しの可能性を示唆し、日本など協力国の資金負担をあてにしている節もあった。

 仏にしてみれば、国内のエネルギー情勢と照らし合わせて最適な計画に変えるというだけのことだろう。それに慌てる日本の側にこそ問題がある。

 日本はなぜ高速炉開発をめざすのか。アストリッド計画は日本の目的と合致するのか。資金負担はどこまで可能なのか。肝心な点を詰めることなく、外国に頼ろうとしたツケが回ってきた。

 ここは一度立ち止まり、核燃料サイクルの意義や実現性を点検したうえで、日本に必要な原子炉の長期的な開発戦略を描くべきだ。

 そのうえで、アストリッド計画を日本の求める内容に近づけられるかを仏と交渉する必要がある。核不拡散という共通目的のため、幅広い国際研究協力の枠組みを検討する選択肢もあってよい。

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