2018年8月19日(日)

DNA診断、ますます身近に 未来の予告、怖いが楽しみ
奔流eビジネス (スクラムベンチャーズ マーケティングVP 三浦茜氏)

コラム(ビジネス)
ネット・IT
2018/6/8付
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 DNAがどんどん身近になっている。自分のDNA情報をベースに様々なサービスが受けられるヘリックスが、今年3月に2億ドル(約220億円)を調達した。ヘリックスを利用すれば、なんとDNA情報からその人にピッタリのスポーツやワイン、睡眠パターンなどがわかるというのだ。

ヘリックスのDNA解析キット。スポーツや睡眠など自分が興味ある診断サービスを購入する

ヘリックスのDNA解析キット。スポーツや睡眠など自分が興味ある診断サービスを購入する

 ヘリックスはいわばDNA診断マーケットプレイス。まず最初に、同社が開発した検査キットでDNAを解析する。一般的なDNA解析サービスと同じく、唾液を提出すると解析されたDNA情報がヘリックスのデータベースに格納される。あとは、自分が興味ある診断サービスを購入すれば、最初に解析したDNA情報をもとにした診断結果を得ることができる。情報のベースとなる最初の検査キットは80ドルで、個別の診断サービスに対して別途利用料を支払う仕組みだ。

 筆者もDNA情報を読み取れるDNAPassport、睡眠タイプ診断のSlumberType、ワイン診断のWine Explorerを購入してみた。

 DNAPassportではルーツとなる地域のほか、カフェインやラクトース、グルテンへの耐性といったことが分かる。

 自分で既に知っていることも多いが、一つ発見があったのは「速筋繊維が一般よりアスリートに近い」という項目だ。あくまで統計的な傾向ではあるが、これはもっと若い頃に知りたかった。

 近い将来、子供が産まれたらすぐにDNA解析するようになるかもしれないと感じた。もし、「速筋繊維が一般よりアスリートに近い」という項目を筆者の親が知っていたら、おそらく両親はもっとスポーツに積極的に取り組ませようとしたことだろう。子供の教育方針にDNA情報が大きく影響を及ぼしそうだ。

 睡眠タイプ診断では「にわとり」「ハチ」「蛍」「ふくろう」の4パターンのうち、蛍パターンと診断された。日が沈むころに調子がよくなるタイプのようだ。朝方になろうと努力しても、なれないわけである。

みうら・あかね 上智大学卒。サンフランシスコ在住。米国でアーリーステージのスタートアップ投資を行うスクラム・ベンチャーズ マーケティングVP。

みうら・あかね 上智大学卒。サンフランシスコ在住。米国でアーリーステージのスタートアップ投資を行うスクラム・ベンチャーズ マーケティングVP。

 自分にぴったりのワインをオススメしてくれるワイン診断では、さすがにDNAだけでは診断が難しいのか、追加で自分の味覚に関するアンケートにも答えた。その結果、白ワインが合っているようで、ブドウの種類はピノグリ、ヴィオニエがオススメとのことだった。まさかDNA情報がワインにつながるとは、思いもよらなかった。DNAによる特定の味や匂いの感じ方が診断結果に反映されている。

 メタボリズム、適切なダイエット法、先祖、食品アレルギー……。ヘリックスのウェブサイトでは、35のサービスを購入することができる。そのなかで、筆者が「未来すぎる」と感じたのが、パートナーと自分のDNAから将来どんな子供が生まれるのかを予想するサービスだ。

 あくまで可能性であり、20項目ほどのライトなデータのみだが、今後さらにデータが精緻化しそうで面白い半面、未来的すぎて怖い気もする。DNAの相性が悪いので婚約解消なんてこともありえるのだろうか。

 DNA解析情報の利用は、解析コストが下がったことで一気に広がり始めている。米国だけでなく、中国系企業も大規模な資金調達をした。中国での普及により、これまではデータが少なかったアジア圏での情報が一気に増えるだろう。

 データの蓄積により、さらに精緻な情報が得られる確率が高まる。今後さらなる分野への応用が見込まれるのではないだろうか。未知の領域は少しのぞいてみるのが怖いような気もするが、非常に楽しみである。

[日経MJ2018年6月8日付]

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