2018年8月16日(木)

外国人材に「選ばれる国」になれるか

2018/6/6 23:10
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 政府は人手不足が深刻な分野を対象に、外国人労働者が就労するための新たな在留資格の創設を決めた。構造的な労働力不足を補い、日本が成長する基盤を維持するための一歩といえる。

 同時に、原則認めていなかった単純労働への外国人の就労に門戸を開くことになり、政策の転換となる。生活環境を含めた受け入れ体制の整備が求められる。

 新しい在留資格は建設、農業、介護など5分野を対象とし、日本での滞在の上限を5年とする方向だ。技能実習制度の修了者のうち希望者や、技能水準と日本語能力をみる新設の試験の合格者が新資格を得ることを想定している。

 政府はこれまで、外国人労働力は専門的・技術的分野でのみ受け入れることとし、単純労働分野は技能実習制度の拡充で対応してきた。しかし、人手不足が一段と進むなか、こうした当座しのぎのやり方は限界にきている。単純労働における外国人の就労のあり方を政府が考え始めた点は歓迎だ。

 女性の就業を促すうえでは家事支援サービスなども新資格の対象にする手があろう。高い専門性がある外国人は別の在留資格に移って長期滞在や家族の帯同ができるようにすることも政府は検討する。質の高い外国人材が増えれば日本の活力の向上につながる。

 一方で今回の受け入れ拡大には懸念も多い。新資格に必要な日本語能力は日常会話がある程度できる水準とするが、建設などでは基準を緩めるという。外国人が支障なく日本で暮らせるか、心配だ。

 違法な長時間労働や賃金不払いなどが後を絶たない技能実習制度を温存することも問題がある。

 外国人の受け入れは、安心して働け、生活できる環境の整備が前提となる。外国人を雇用する企業へは監督を強める必要がある。日本語の習得や医療面などの支援にも力を入れなければならない。

 生産年齢人口が減る国は日本だけではなく、外国人材の国際的な獲得競争は今後激しくなる。日本を選んでもらうためにも暮らしやすい環境の整備は欠かせない。

 日本の企業が雇った外国人が母国にいる家族を健康保険の被扶養者にし、家族が母国でつかった医療費を日本の企業健保などに請求する悪質事例も増えている。こうした制度の穴をふさぐ手立ても早急に講じる必要がある。多面的に外国人の受け入れを拡大できる環境を整えていかねばならない。

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