2018年6月25日(月)

出生率向上へ若者の不安拭え

社説
2018/6/6付
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 一人の女性が生涯に産む子どもの数にあたる合計特殊出生率が2017年、前年より0.01ポイント低い1.43となった。ここ数年、1.4台で横ばいが続いている。

 生まれた子どもの数は、2年連続で100万人を割り、94万6060人だった。前年より3万人以上少なく、過去最少だ。

 出生率は横ばいなのに出生数が大きく減ったのは、長年の少子化の影響がある。母親となる年代の女性人口そのものが減っているためだ。出生率が上向かない限り、子どもはますます少なくなる。

 子どもを持つ、持たないはもちろん各人の選択だ。政府が押しつけるものではない。一方、子どもをほしいと考える夫婦らの希望がすべてかなった場合、出生率は1.8に上昇すると政府は推計する。希望を阻む社会的な要因をなくし、若い世代の子育てへの不安を解消しなければならない。

 もっとも大切なのは、子どもを育てながら働ける環境を整えることだ。少子化対策であるとともに、目下の労働力不足を和らげる効果もある。

 まずは保育サービスの拡充だ。安心して子どもを託せる場所が増えれば、もう1人子どもを持つハードルも低くなるだろう。政府は20年度末までに待機児童を解消するという。着実に実行すべきだ。

 車の両輪となるのが、企業が働き方を見直すことだ。硬直的な長時間労働をなくし、働く時間と場所に多様な選択肢を用意する。望まない転勤を少なくする制度を工夫する。柔軟な働き方が広がれば、男性が育児・家事を分担しやすくもなるだろう。

 若い世代のなかには、十分な収入が得られず、結婚や子育てに踏み切れない人もいる。職業訓練などで能力を伸ばす機会を増やし、安定した職に移れるよう支援すべきだ。

 出生数から死亡数を引いた自然減は約40万人で、過去最大となった。日本経済の活力を保ち、社会保障制度を維持するためにも、あらゆる手を打たねばならない。

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