CFOは企業のカナメ
SmartTimes (谷間真氏)

2018/6/8 6:30
保存
共有
印刷
その他

新規株式公開(IPO)を目指す成長企業には、優秀なリーダーが必要となる。将来像を創り出し組織を束ねる最高経営責任者(CEO)、事業を推進する最高執行責任者(COO)と同じぐらい、最高財務責任者(CFO)の役割は極めて大きい。

1971年生まれ。京大卒。公認会計士。2002年にIPO支援コンサルタントとして独立。07年から上場企業の経営者を務め、11年からシンガポールでも活動。13年にIPOビジネス再開

1971年生まれ。京大卒。公認会計士。2002年にIPO支援コンサルタントとして独立。07年から上場企業の経営者を務め、11年からシンガポールでも活動。13年にIPOビジネス再開

しかし、多くの経営者はその呼称の影響なのか、CFOの役割と求められる能力を勘違いしている。財務部長や経理部長といった部門の責任者ではなく、その企業の頭脳となる経営陣なのだ。売上高や利益を成長させるのがCEOとCOOの役割とすると、企業価値を成長させるのはCEOとCFOの役割だ。

CFOはCEOと共に自社の競争力を客観的に分析し、経営戦略を練り、利益計画を立案し、最適な組織を構築する。戦略を実行するための体制を整備し、必要な計数管理を基に調整や修正を行う。

また、外部へのプレゼンテーションと交渉によるファイナンス、投資家向け広報(IR)、情報システム、税金に関する業務、M&A(合併・買収)や提携などもCFOの業務だ。リスクマネジメントの担当者でもあり、企業の社会的責任と影響度が大きくなるにつれて、役割は加速度的に大きくなっていく。

これは明らかに従来型の管理部門の人材に手に負えるミッションではない。監査業務や会計業務を行ってきた会計士なども、その能力を有しているとは言えない。コミュニケーション能力が高く、経営全般に関する知識と経験を有しており、経営陣として責任感とバランス感覚のある論理的な人材が必要となる。

多くのベンチャー企業はCFO候補がいないという悩みを抱えている。募集や紹介でCFOに向く優秀な人材に出会えることは、ほぼ皆無と言っていいので、つまるところ自社で育成するしかない。

門外漢の社内人材であっても、バランス感覚とコミュニケーション能力が高ければ、適切なアドバイザーとともにIPOという長期間にわたるプロジェクトの中で経験を積むことで、CFOとして十分に成長できる。

私は支援先の経営者に、社内で最も優秀かつ成長余地のある人材をCFOに指名するようにアドバイスしている。そのような人材は事業部門に配置しがちで、既に活躍している場合が多い。CFO候補として推薦しても「それは事業推進に支障が出る」と反対が出る。CFOが企業の要であるという認識がもっと広がってほしい。

また、若者たちにとってもCFOは魅力的な仕事だと思うのだが、その魅力が正しく伝わっておらず、優秀なCFO人材は明らかに不足している。金融機関やコンサルティング会社、監査法人などで企業に関わった人たちには、CFOとなる道を選択肢の一つとしてもらいたい。

[日経産業新聞2018年6月6日付]

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]