2018年9月20日(木)

地に落ちた財務省の信頼は回復できるか

2018/6/4 23:13
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 財務省が森友学園文書の改ざん問題に関する調査結果と関係者の処分を公表した。これで森友問題にひと区切りつけて出直したいということだろうが、福田淳一前財務次官のセクハラ問題もあり、地に落ちた信頼を回復するのは容易ではない。

 調査結果は、公文書を改ざんし破棄するという前代未聞の不祥事を起こしたのは当時、理財局長だった佐川宣寿・前国税庁長官の主導によるものと認定した。

 その理由について、交渉記録は残っていないと説明した佐川氏の答弁を踏まえ「国会審議の紛糾」を避けるためだったとしている。佐川氏に先立ち、自らと昭恵夫人の関与を否定した安倍晋三首相の国会答弁があったのは事実だ。

 官僚として守るべき「吏道」に反してまで、そうした行為に及んだ背景に何があったのか、なお解明が求められる。大阪地検が本件を不起訴処分としたことで、はっきりしないままで終わっては有権者の理解は得られまい。

 刑事事件として立件はできないとしても、文書の改ざんや廃棄が横行しないよう公文書管理法を改正し、罰則規定を盛り込むなどの議論も必要だ。

 関係者の処分を受けて幹部人事も検討し、1カ月以上にわたってナンバー1の事務次官とナンバー2の国税庁長官が不在のままの異常事態にケリをつけるようだ。財務省として内外の批判を謙虚に受けとめ、信頼回復のために省をあげて取り組むべきだ。

 財務省が信頼を得てきた最大の理由は、一政治家・一政党・一政権のためでなく、この国の将来、国益を考えている集団だと受けとめられてきたからだ。そこには高いモラルと一身をなげうつ覚悟を持った官僚がいたはずである。

 20年前の接待汚職事件のように今回は逮捕者を出す事件とはならなかったが、有権者・納税者の信頼を失った点は全く同じだ。

 野党は麻生太郎副総理・財務相の辞任を迫っている。首相は続投の方針を変えていない。国会会期中の辞任となれば、対外関係を含め政策の継続性からも混乱を招くおそれがあるのは確かだ。

 しかし、問題を引き起こした組織のトップは責任を免れない。大学や企業で今なお「無責任の体系」がはびこっているのが悲しい日本の現実だ。麻生氏は「政治家の美学」を大切にするという。時機をみて決断することを求めたい。

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