2018年6月19日(火)

春秋

春秋
2018/6/3付
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 「私、失敗しないので」。主人公の外科医が、こう歯切れよく断言するテレビドラマがある。視聴率も高く、シリーズものとして長く続いてきた。作り話と頭ではわかっていても、こんな医師がいてくれたらと願う。そうした人々の心理があっての人気ぶりといえよう。

▼しかし実際の医師や病院がCMや看板で「絶対安全」をうたうことはない。医学部卒の医療ジャーナリスト、朽木誠一郎氏が著書「健康を食い物にするメディアたち」で理由を簡潔に説明している。「絶対安全な手術」は医学的に存在しない。そうした手術を提供するといえば嘘になる。したがって法律違反になるからだ。

▼今月1日に改正医療法が施行され、従来の広告だけでなく、ネット上のウェブサイトなども規制の対象に加わった。「絶対安全」といった嘘や誇大な宣伝文句はもう許されない。個人の体験談も主観的な情報なので使えない。「手術前・手術後」を比べた写真も、リスク面などの説明なしで掲載することはできなくなった。

▼医師や医療機関をネットで探す人は多い。規制強化で型通りの紹介文しか載せないサイトばかりになれば、患者の病院選びはかえって難しくなる。投稿サイトなどに頼り効果の怪しい治療法にひっかかる人も増やしかねない。医療界や行政は今後も適切な情報公開の方法を探り、患者は嘘を見抜く目を磨き続けるしかない。

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