2018年12月17日(月)

米朝首脳会談を北の核完全放棄の契機に

2018/6/2 23:00
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北朝鮮は今度こそ本気になったのだろうか。米朝首脳会談が当初の予定通り12日にシンガポールで開かれることが決まった。北朝鮮の核問題を対話で解決する流れが本格化するのは歓迎したい。

開催の再決定まで曲折をたどった。北朝鮮の強硬姿勢を受けてトランプ米大統領は5月24日に「敵意をあらわにした」と中止を通告。北朝鮮が態度を軟化すると、会談の再調整を表明した。中止発表から1週間強で北朝鮮に劇的な変化が見られたのかは疑念が残る。

金正恩委員長はロシアのラブロフ外相との会談で、非核化について「段階的に解決することを希望する」と持論をあらためて展開した。一方的な核放棄要求は受け入れず、あくまで段階的な非核化措置に応じて制裁緩和や体制保証を得る手法にこだわっている。

金正恩氏が朝鮮半島の「完全な非核化」の意思を繰り返し表明しながら、具体的な措置への言及が伝わってこないのも懸念される。短期間での完全かつ検証可能で不可逆的な非核化を要求する米国との隔たりは、依然として解消できていないとみられる。

トランプ氏は、米朝首脳会談で休戦状態にある朝鮮戦争の終結に合意する可能性に含みをもたせた。核放棄が中途半端な段階で北朝鮮が求める平和協定を締結するのは避けたい。東アジアの安全保障に空白が生じかねない。

北朝鮮の脅威は多岐にわたる。日米が核に加えて生物・化学を含む全ての大量破壊兵器や、あらゆる射程の弾道ミサイルの完全放棄を迫っているのは当然といえる。

米朝首脳会談では、北朝鮮にあらゆる核関連施設や物質の申告・公開から国際原子力機関(IAEA)による査察、搬出や検証まで手順や期限を示すよう詰めるべきだ。「完全な非核化」への実質的な始まりの場にするのが重要だ。

金正恩氏は年明け以降、韓国の文在寅大統領、中国の習近平国家主席とそれぞれ2回ずつ会談した。米国の同盟国である韓国を取り込んだうえで、中ロを後ろ盾に据える思惑がみえる。

めまぐるしい動きに翻弄されて北朝鮮の完全な核放棄を追求する本質を見失ってはいけない。北朝鮮への「『最大限の圧力』という言葉はもう使いたくない」と語ったトランプ氏に対し、安倍晋三首相は圧力を高めると強調した。米朝首脳会談を前に、日米が立場を入念に擦り合わせる必要がある。

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