インスタ映えする動画 ありのままが共感呼ぶ?
奔流eビジネス (通販コンサルタント 村山らむね氏)

2018/6/3 6:30
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「インスタ映え」という言葉が2017年の流行語大賞にも選ばれたように、現在、インスタグラムやフェイスブックなどのSNS(交流サイト)で映える写真を撮ることは、生活の満足度を上げるための非常に重要な要素となっている。「いいね」をもらいやすい写真を撮ることは生活者にとって、とても大切な動作である。そして、そういう写真を撮らせること、そういう舞台やネタをいかに提供できるかが、企業にとって死活問題となってきている。

再生中に料理そのものが変化する動画が注目を集めている

再生中に料理そのものが変化する動画が注目を集めている

レストランのメニュー開発の場でも、「インスタ映え」するメニューをいかに開発するかに頭を悩ませているそうだ。先日、お招きに預かった試食会でも、いかにもインスタ映えしそうな花が咲いたような見た目のローストビーフ丼に、もっとも説明の力が入っていた。もちろん見栄えがいいだけでなく、食べてみておいしいというのが必須であるが、ただおいしいだけでは、ネットでの拡散力が弱い。今、おいしさは、文章で味わうのではなく、ビジュアルで味わうからだ。

そして、昨年から顕著なのは、静止画としてインスタ映えするか、つまりフォトジェニックかどうかというだけではなく、ムービージェニックかどうかということも、重要になってきている。つまり「そのメニューは、動画映えするか?」。

動画映えするメニューとはなんだろうか。SNSのタイムラインで動画を目にする機会が増えている。特に、注目を集めているのは、動画の再生中に料理そのものが変化するものだ。

例えば、加熱するとチーズのように溶けて変態するもの。昨年来、話題となっている「チーズタッカルビ」も、チーズが溶けて決壊するダムのようになるさまが、動画としてたくさんアップされ興味をそそった。

溶けるチョコレートや、溶けるかき氷、切ると流れ出すハンバーグの肉汁など、温度の変化で状態が激変するもの、食べるためにナイフで切ると想像以上の変化があるもの、そういう動きのある映像が撮れる料理が、これからますます人気を呼ぶと考えられる。製造工程をムービーで撮らせて拡散させるのも目立ってきている。アイスクリーム店やイカを丸ごと焼くイカ焼き店など、様々な「ムービージェニック」の手法が編み出され始めている。

むらやま・らむね 慶大法卒。東芝、ネットマーケティングベンチャーを経てマーケティング支援のスタイルビズ(さいたま市)を設立、代表に。

むらやま・らむね 慶大法卒。東芝、ネットマーケティングベンチャーを経てマーケティング支援のスタイルビズ(さいたま市)を設立、代表に。

私も流行に乗って「ドゥバイヨル丸の内オアゾ店」(東京・千代田)で、雪崩という意味のチョコレートデザート「アヴァランシュ」を体験してきた。熱いチョコレートをかけると、球状のチョコレートの中からアイスが出てくるという、見た目も面白く、味もおいしい。インスタグラムのストーリー(24時間限定の視聴コンテンツ)にアップすると、1日でフォロワーの5%以上が見てくれた。

メディアプロデュース事業などを営むHINT INC.社長のやまざきひとみ氏によると「今の女子達は、何よりも嘘を嫌う。ライブ動画や加工していない動画の方が信用してもらえる」。動画というと、作り込んだコンテンツを思い浮かべがちだ。だが、加工されていない素の動画の方が、SNSでの拡散性は強いのかもしれない。

「動画の露出がSNSのアルゴリズムで優先される傾向がある」(やまざき氏)なかで、静止画的な体験だけでなく、動画的な体験をいかに演出できるか、企業は知恵をしぼることが求められよう。

[日経MJ2018年6月1日付]

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