2018年8月17日(金)

エネルギー政策見直しへ議論尽くしたか

2018/5/30 1:06
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 経済産業省がエネルギー政策の土台となる、新しい「エネルギー基本計画」の素案をまとめた。2030年の目標は現行計画を引き継ぎ、50年を視野に入れたエネルギー選択への課題を掲げた。

 エネルギー利用は石油や石炭など化石燃料への過度の依存から、太陽光や風力など再生可能エネルギーへ世界規模で転換期を迎えている。速度を上げる変化に備え、速やかに手を打たねばならない。

 今回示された素案がその要請に十分に応えているだろうか。

 新しい基本計画は14年につくった現行計画の改定となる。原子力発電について「重要なベースロード電源」との位置付けを変えず、再エネは新たに「主力電源」を目指すとした。30年時点の電源構成については、原子力発電を20~22%、再エネを22~24%とする現行目標を据え置いた。

 原発の目標を達成するには、30基程度の再稼働が必要だが、これまでに再稼働したのは8基にとどまる。30基の再稼働が実現できるのか危うさが残る。

 再稼働しても、運転開始から最長60年で廃炉を迎え、いずれゼロになる。30年を超えた先も原発を活用し続けるなら、原発の新増設の議論は避けられないはずだが、新計画では触れなかった。

 再エネについても主力電源を目指すとしながら、さらに伸ばすための方策に踏み込まなかった。

 今回の見直しは「骨格を変えない」との方針の下で検討が始まった。現行計画の策定から4年とはいえ、エネルギーをめぐる内外の環境は大きく変化している。現行計画を追認する結論を見る限り、課題の先送り感が否めない。

 目標を据え置いても、足元で着手すべきことがあるはずだ。福島第1原発事故から7年が過ぎても国民に根強い不信が残る原発を使い続けるなら、なぜ必要なのか、どう使っていくのかを正面から議論すべきだったのではないか。

 素案は50年に向けて、脱炭素を促すエネルギー技術をめぐる国家や企業間の競争が加速し、その技術獲得へ官民協調であたる必要性を指摘した。政策を長期で描くうえでこの認識は重要だ。

 エネルギーは暮らしや経済を支える血液だ。再エネの定着にはまだ課題が多い。これを最大限伸ばす努力を続けながら、原子力や化石燃料など多様な選択肢を残し、供給の最適な組み合わせを探る議論を尽くすべきだ。

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