イタリア次期政権への懸念

2018/5/27 23:17
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ユーロ圏3位の経済大国であるイタリアで、欧州連合(EU)懐疑派とされる2つのポピュリズム(大衆迎合主義)政党が組んで次の政権を担うことになった。

連立にあたっての政策合意には、ばらまき型の施策や過激な移民対策が並ぶ。首相には政治経験のない学者が就任する。EUや金融市場を混乱させる事態にならないか、先行きが心配だ。

イタリアでは今年3月の総選挙で与党の民主党が後退し、過半数を得る陣営が出なかった。連立協議が難航した末に、選挙で議会第1党に躍進した反エリートの「五つ星運動」と、反移民などを掲げて伸びた極右「同盟」という2党の組み合わせで決着した。

選挙で過激な主張を展開していた両党だけに、連立に向けた政策合意には気がかりな内容が多い。経済政策では大型の所得減税や最低所得保障、年金支給年齢の引き上げ撤回など、財源の裏付けの乏しい大盤振る舞いが目につく。

EUが加盟国に課す財政規律の緩和を求める姿勢もみせる。新政権はユーロ圏のかく乱要因になる恐れがあり、金融市場ではイタリアの国債が売られるなど、懸念を反映した動きが出ている。

不法移民を強制送還したり、EUの対ロシア制裁の解除を求めたりする方針も示しているようだ。

新首相に指名されたコンテ氏は政治的には無名の存在とされる。首相人事をめぐる2党の綱引きの結果、あえて外部の人材を選んだようだが、これで安定した政権運営ができるのだろうか。

新政権は欧州の有力国を背負う責任を自覚し、現実的で建設的な政策に取り組んでほしい。

欧州ではポピュリズム的な政治勢力の伸長が目立っている。英国ではEU離脱への旗振り役となり、ドイツやフランスでも国政選挙で躍進して注目された。

こうした流れの中、ユーロ圏の主要国にポピュリズム政権が登場することの影響は重大だ。欧州を揺さぶる政治の変化がどこまで広がるかを注視する必要がある。

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