2018年6月24日(日)

「脱時間給」の制度化を今国会で確実に

社説
2018/5/28付
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 働き方改革関連法案は一部の専門職を労働時間規制から外す「高度プロフェッショナル制度(脱時間給制度)」の創設が焦点となっている。この制度は先進諸国で見劣りのする日本の労働生産性を引き上げる意義がある。今国会の審議日程はかなり窮屈だが、確実に法案を成立させるべきだ。

 自民、公明両党は、野党の日本維新の会、希望の党の要請に応じ、脱時間給制度に関する法案の内容を修正した。制度を適用された後でも、本人の意思で離脱できることを明記した。

 この規定は法案成立後に省令で設ける予定だったが、法律で定めることで効果が増そう。もともと制度の適用にあたっては本人の同意を必要とすることとしている。過重労働を防ぐ対策を強める妥当な修正といえる。

 柔軟に働ける利点のある脱時間給制度には、対象者の健康を懸念する声がある。だが、健康確保をめぐっては、政府が労働組合の意見を受け入れ、対策を補強してきた経緯がある。

 連合が昨年要請した年104日以上の休日取得の義務付けなどを全面的に法案は採り入れている。健康を守る一定の対策は講じられているとみてもいいのではないか。各企業も労使が話し合って健康確保策を充実させるべきだ。

 目を向けるべきは脱時間給制度を設ける意義である。IT(情報技術)の普及など産業構造の変化を背景に、ホワイトカラーの仕事は成果が労働時間に比例しない傾向が一段と強まっている。成果重視の新制度は企業の国際競争力の向上に役立つ。

 個人が自分の能力を磨き、労働市場での価値を高めることにもつながる。

 法案には当初、生産性向上に資する働き方改革として、仕事の時間配分を働き手が決められる裁量労働制の対象拡大も入っていた。

 だが、厚生労働省の調査データ不備で切り離され、先送りされた。それだけに脱時間給制度の新設はぜひ実現させる必要がある。

 働き方改革関連法案には残業時間への上限規制の導入や、正社員と非正規社員の不合理な待遇格差をなくす「同一労働同一賃金」の制度化といった柱もある。

 デジタル化やグローバル化への日本企業の対応力を高めるための脱時間給制度の創設も、劣らず大事だ。制度の意義を、与党は国会審議でしっかり説くべきだ。

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