ベネズエラの危機いつまで

2018/5/25 23:04
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南米の産油国ベネズエラで20日に大統領選挙があり、反米左派のマドゥロ大統領が再選を決めた。深刻な経済危機にもかかわらず、有力な野党指導者の立候補を阻むなど強権的なやり方で、さらに6年の任期を手にした。

米国やブラジル、カナダなどが選挙は不公正だったと批判し、新たな制裁や外交関係の格下げに踏み切ったのは、理解できる。

足元のインフレは年率1万%に及ぶとみられている。食糧や薬品などを求めて国外に脱出した人は100万人を超えたもようで、危機は国境を越えて広がっている。憂慮に堪えない。

ベネズエラは外貨収入のほとんどを原油に頼ってきた。最近の原油相場の上昇は経済面で追い風になるはずだが、生産量が落ち込んでいるため苦境を抜け出せない。実のところ、ベネズエラの減産は原油高の一因でもある。

産油量が減ったのは製油所などへの投資を怠ったからだ。その分、低所得者への日用品の配給などに注力してきたが、ばらまき的な政策は外貨収入頼みの脆弱な経済構造を作り上げてしまった。

目下の危機は、「21世紀の社会主義」を掲げたチャベス前大統領の時代からの失政の結果といっていい。ここにきてマドゥロ大統領は原油増産に力を入れると表明し始めたが、必要な資金を調達する手立ては限られている。

中国やロシアに頼るにしても、足元をみられる可能性が大きい。このままでは危機は長引き、深まるばかりだ。何よりも国民のための決断を大統領は求められる。

隣国のコロンビアやブラジルなどではベネズエラからの事実上の難民が重荷となっている。米国がマドゥロ政権を声高に批判しながら、周辺国の負担軽減へ指導力を発揮していないのは、残念だ。

27日に大統領選を予定するコロンビアをはじめとして、中南米ではことしから来年にかけ重要な選挙が相次ぐ。中ロが影響力の拡大を目指すなか、米国の存在感が薄いのは心配だ。

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