ウィステリアと三人の女たち 川上未映子著 壊れた生に差すかすかな光

2018/5/26 6:00
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日本経済新聞 朝刊
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表題作に藤の木のある家が出て来る。タイトルがその藤を藤と呼ばずウィステリアと呼ぶのは、この普通名詞が作中、その家の主である女性の固有名詞として不思議な働きをするからだろう。

50年以上前、父を亡くした20代後半の彼女は英国人女性とこの家で英語塾を開いた。後者が、きみのことをウィステリアと呼んでもいいかと尋ねた頃から、前者は後者に密(ひそ)かにひかれていく。38歳になると、彼女と体をあわせて「赤ん…

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