2018年10月16日(火)

米国が検討する車の高関税は許されない

2018/5/25 1:20
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国の安全保障を大義名分にすれば、どんな輸入制限も許されると、本気で考えているのだろうか。トランプ米政権の通商政策はあまりにも危険である。

トランプ大統領が23日、乗用車やトラック、自動車部品を対象に、高い追加関税を課すべきかどうかを調査するようロス商務長官に指示した。安保を理由とした輸入制限を認める米通商拡大法232条に基づく措置だ。

自動車関連の貿易規模は大きいだけに、3月に強行した鉄鋼やアルミニウムの追加関税よりも深刻な影響をもたらす恐れがある。主要国との貿易戦争を誘発し、世界経済を危機に追いやる無謀な行動と言わざるを得ない。

とりわけ打撃が大きいのは日本やカナダ、メキシコなどの自動車輸出国だ。米国に輸出する製品の競争力が低下し、サプライチェーン(供給網)の抜本的な見直しを迫られかねない。

輸入車の価格が上昇すれば、当然ながら米消費者の懐も痛む。国内の雇用や賃金をたとえ一時的に守れたとしても、トランプ氏が望む「偉大な米国の復活」に資するとは思えない。

そもそも自動車の輸入拡大が、なぜ米国の安保を脅かすのか。トランプ氏は「自動車などの中核産業は、国家としての強さにとって重要だ」との声明を発表したが、米通商拡大法232条を都合良く活用し、貿易不均衡の是正を求めたいのが本音だろう。

これでは米国の保護貿易が、どこまでエスカレートするかわからない。トランプ政権は追加関税の発動を見送るべきだ。

トランプ氏は11月の中間選挙をにらみ、強硬な通商政策で支持基盤固めに動く。今回の措置も北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉でカナダやメキシコの譲歩を引き出し、日本を米国との自由貿易協定(FTA)交渉に引き込むための戦略と言われる。

国際ルールを踏みにじり、一方的な輸入制限に動くのは、どんな理由であれ到底容認できない。主要国との輸出入に問題があると思うのなら、世界貿易機関(WTO)への提訴や2国間の交渉で解決するのが筋だろう。

日本をはじめとする主要国は連携を深め、トランプ氏の自制を強く促すべきだ。米国の制裁や報復を恐れるあまり、WTOのルールに抵触しそうな輸入制限を決して容認してはならない。

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