スポーツ史上まれな不祥事だ

2018/5/23 23:15
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故意による傷害事件の疑いが強まった。スポーツ史上、前代未聞の不祥事である。

アメリカンフットボールの日本大学と関西学院大学の定期戦で、日大の選手がプレー中断後、無防備な関学大の選手に背後からタックルして負傷させた問題だ。

自責の念にさいなまれた日大選手が、反則行為は「相手を潰せ」という同大アメフト部の内田正人前監督とコーチの指示だったと告白した。「相手がケガをして試合に出られなかったら得」との発言もあり、「潰せ」は負傷させる意味と受け止めたという。選手の父が真実の公表を求めたが、監督に拒まれた経緯も明かした。

これに対し内田前監督とコーチは「ケガをさせる目的で(タックルを)指示していない」などと釈明。「相手を潰すくらいの気持ちでプレーしてほしいとの趣旨だった」と繰り返した。

危険なタックルの責任は、意図を誤解した選手にある、と言わんばかりだ。被害者側は警察に被害届を提出し受理された。このままでは選手が責めを負わされかねない。選手の発言は、前監督やコーチのパワハラに近い理不尽な指導への悲痛な叫びに聞こえた。

醜悪な事態である。日本最大規模の有力大学が、教育サービスの受け手、つまり顧客で将来ある若者に、組織防衛のため責任転嫁しているようにみえるからだ。

内田前監督が大学経営の中枢である常務理事の要職にあることと無関係であるまい。日大は年80億円を超す私学助成を受けている。理事の不祥事や法令違反が確認された場合、補助金が不交付、または減額される。

これを回避するため、前監督の反則行為への指示などを否定しているのだとすれば、理事会の責任は重大だ。文部科学省は、適切な指導をする必要がある。

日大は第三者委員会で真相を究明するという。他の選手からも詳しく事情を聞く必要がある。これ以上、教育とスポーツをおとしめぬよう自浄作用を発揮すべきだ。

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