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日米協業、歩調合わせて

新風シリコンバレー (ジョアナ・ドレイク氏)

日本の優良企業とパートナーシップを築くプロセスは欧米とはかなり違っている。往々にしてシリコンバレーのベンチャー企業は、日米のビジネス習慣の違いに注意を払わず、契約を成立させるために日本企業が踏まなければならないプロセスを理解していない。

ジョアナ・ドレイク Current TVなどのメディア関連企業の幹部やDeNA WESTの最高執行責任者を経て、コア・ベンチャーズ・グループのジェネラルパートナー。スタンフォード大修士、カリフォルニア大バークレー校卒。

日本企業とのビジネス開発は、契約締結のための承認プロセスを管理するだけでなく、商談の状況のコミュニケーションがカギとなる。注意点がわかっていれば、文化的なビジネス習慣の違いを切り抜けられる。

私たちがベンチャー企業のエグゼクティブにアドバイスする戦略的手法を紹介する。ポイントは7つだ。

(1)近道をしないこと。契約締結の承認プロセスを速めるために情報を制限するなどの方法は、結果として長期的な信用に基づいた有益なパートナーシップ構築の妨げにしかならない。契約の協議期間には、誠実に、締結に必要な情報を最大限提示すること。

(2)両社が満足できる結果を一番の目標にパートナーシップの形態を探ること。着地点が両社のインセンティブに合致し、リスクを公平に分担すること。

(3)プロダクト・リーダーをキーパーソンとして大切にすること。同時に社内稟議(りんぎ)には一定の時間を要することを忘れてはならない。特に1億円以上のパートナーシップを締結するには、プロダクトチーム、ビジネス開発チーム、幹部との協議に半年から1年かかる覚悟が必要だ。

(4)しっかりとしたパートナーシップや商談が成立するまで、投資案件は先送りすること。早期のベンチャー企業への投資は、後にベンチャー投資家と長期展望の見方がずれ、行き違いが生じることがある。

(5)綿密に提案書を作成すること。プロダクトのニーズが理解され、エンジニアリングの要件、タイムラインが決まった段階で、プロダクト・リーダーと提案書を作成する。レビューの間に追加要件が発生しても、この時期は合意形成期なので焦ってはならない。

(6)チェックリストを作成すること。提案書が提携先のステークホルダーに受理されたら、最終合意までのステップのチェックリストをプロダクト・リーダーと作成する。契約締結に向けてのアクションプランとして役立つ。

(7)社内稟議のプロセスを学ぶこと。契約締結に関する具体的な情報を収集し、締結間際のサプライズがないようにする。

また、複雑な契約締結のプロセスを理解し実行することと同様、自社の幹部や役員には契約締結の現実的な期待値を伝えるよう、私たちはアドバイスをしている。日本で実りのあるパートナーシップを構築するには、米国の2~3倍の時間を要し、成功のためのリソースを配置するには、役員を含む幹部の理解が必要となるからだ。

日本で協業を成功させるプロセスを外国人として考えることによって、ビジネス習慣の違いが理解できる。私たちが日本と米国のビジネス習慣の違いの橋渡しになれることを願ってやまない。

[日経産業新聞2018年5月22日付]

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