春秋

2018/5/20 1:16
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「ゲバ字」をご存じだろうか。学園紛争が盛んなころ、ビラや立て看板に躍っていた独特の書体だ。字形は極端に角張り、闘争を斗争、万歳を万才などと略字で書き、いかにも物々しい雰囲気を伝えていた。中国の文化大革命に登場した「大字報」の影響もあったろう。

▼かつては全国どこの大学へ行っても、この手のタテカンが散見された。しかし活動家学生が口にしたゲバルト(暴力)なる言葉が世間でどんどん縁遠いものになり、ゲバ棒もゲバ字も昨今はとんと目にしない。とはいえタテカンそのものはかろうじて命脈を保ち、そのいちばんの名所が京都大の吉田キャンパス周辺だった。

▼サークル活動の勧誘。演劇公演の告知。なかには政治的なやつもあるが大半はカラフルで学園祭のノリだ。ところが大学当局は、京都市の屋外広告物条例などに触れるとして撤去に乗り出した。抵抗する学生らが再設置、当局が撤去といたちごっこが続く。条例に例外なしと市も譲らず、久々に学園紛争めいた展開である。

▼撤去済みの看板保管場所にフェンスを壊して何者かが侵入し、大学側が警察に被害届を出した。いよいよゲバルトっぽい騒ぎだが、学生の表現活動をあまりしゃくし定規に規制しては収拾がつかなくなろう。現場は銀閣寺にもほど近い、京都らしい場所だ。色とりどりの今風タテカンも含めて、京都らしい場所ではないか。

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