2018年5月23日(水)

予防接種ではしかの流行防げ

社説
2018/5/17付
保存
共有
印刷
その他

 はしかの感染が広がっている。日本では過去の病気だと思いがちだが、旅行者が海外から持ち込むケースが後を絶たない。乳幼児などは死に至ることもある病気で、油断はできない。水際対策には限界があり、ワクチン接種による流行拡大の防止が不可欠だ。

 今年3月に台湾から沖縄旅行にやってきた患者から広がり、愛知県や東京都を含め患者数は計150人を超えた。流行の峠は過ぎつつあるようだが、感染力は極めて強く、なお注意が必要だ。

 はしかの感染はワクチンの予防接種で防げる。日本は公費による乳幼児期の接種を1978年に始め、効果を確実にするため2006年から2回の定期接種とした。15年には世界保健機関(WHO)が、常在するウイルスは「排除された状態」と認定した。

 現在50代以上の人のほとんどは感染により免疫を獲得している。20代後半~40代は予防接種を1回しか受けていない人が多いが、大半は抗体を持つことがわかっていて、過度に恐れる必要はない。

 ただ、世界を見渡せば死者は年間10万人近くに達する。大勢の観光客らが出入国するなか、海外からウイルスが入ってくるリスクは増大している。過去の感染や予防接種の経緯が不明の場合は、海外へ渡航する際に念のため接種を受けるのが望ましい。

 0歳児や妊婦、免疫系の病気の患者らは安全のため接種を受けられないが、こうした人たちと接する機会の多い医師や看護師らはしっかりした接種が求められる。

 若手の医師などははしかの診断経験がなく見逃しもありうる。病院の待合室などで感染が広がる心配もある。国や自治体、医師会、学会が協力して、対策に関する知識の普及を急ぐべきだ。

 予防接種率の向上などのため厚生労働省は対策指針の改正を準備中という。一刻も早く実施してほしい。はしかに限らず様々な感染症が国境を越えて入ってくる。一人ひとりが危機感をもち、自ら予防策を講じる姿勢も大切だ。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報