2018年8月21日(火)

目先の数字に一喜一憂せず改革加速を

2018/5/16 23:33
保存
共有
印刷
その他

 内閣府が発表した2018年1~3月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.2%減、年率換算で0.6%減だった。個人消費や企業の設備投資、住宅投資など国内需要がそろって振るわなかった。景気のけん引役となってきた輸出の伸びも鈍化した。

 マイナス成長は15年10~12月期以来、9四半期ぶりだ。一時的な天候要因も作用しているので緩やかな景気回復の流れが変調をきたしたとみるのは早計だが、油断は禁物だとの警告ではある。

 政府は目先の成長率に一喜一憂することなく構造改革を加速し、内需を軸とした潜在成長率の底上げに取り組むべきだ。

 事前の民間エコノミスト予測(中央値)は前期比年率で実質0.1%減だった。想定よりマイナス幅が大きかったのは、設備投資が前期比0.1%減と6四半期ぶりにマイナスに転じたためだ。

 企業収益は18年3月期に過去最高を2年連続で更新した。しかし先行きの収益環境について企業は必ずしも楽観していない。国際金融市場の動揺や、米トランプ政権を起点とする保護貿易主義の台頭などは、深刻な波乱材料だ。

 1~3月期の輸出は前期比0.6%増と昨年10~12月期(2.2%増)から減速した。経済のグローバル化が進み、たとえ米中2国間の対立でも貿易摩擦の悪影響は拡散しやすい。為替相場の動向と合わせて注視が必要だ。

 国内ではGDP全体の6割を占める個人消費がわずかながら2四半期ぶりにマイナスとなった。1月の大雪に伴う経済活動の混乱や、天候不順による生鮮野菜の高騰が消費の抑制につながった。ただ賃金の総額を示す雇用者報酬が好転したのは好材料になる。

 住宅投資は2.1%減と低迷が続いた。相続税対策としてのアパート建設への監視を金融庁が強めた結果、という面が大きい。

 17年度通年の実質成長率は1.5%となった。1%程度とみられる日本の潜在成長率を上回り、4年ぶりの高水準だ。だが18年度以降の展望は楽観できない。

 痛みをともなう年金、医療、介護の社会保障改革が控え、19年10月には消費税率の引き上げも予定されている。国内に新たな需要を生みだす規制緩和や労働市場を活性化する働き方改革を政府は推進し、経済の足腰を鍛えていかなければならない。

保存
共有
印刷
その他

関連キーワード

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報