2018年10月20日(土)

事業承継を体質強化の契機に

2018/5/13 23:54
保存
共有
印刷
その他

多くの中小企業で後継者難が深刻になるなか、円滑な事業承継を支援する動きが増えてきた。

中小企業は日本の企業数の99%超を占め、雇用も7割を支える。この基盤を守ることは経済の活力維持に欠かせない。だが同時に必要なのは単なる延命にとどめず、生産性の向上につなげることだ。

経済産業省がまとめた2018年版の中小企業白書によると、製造分野の大企業の労働生産性は16年度までの7年間に32%向上した。一方、この間の中小企業の伸び率は10%にとどまっている。

中小企業は生産性の向上につながる設備投資に後ろ向きなほか、業務効率を高めるIT(情報技術)システムの利用に消極的なことが多い。経営者の世代交代を契機に、体質強化に向けた投資を増やすべきだ。

親族や社内に適切な後継者がいればいいが、難しければM&A(合併・買収)が有力な手段となる。中小企業のM&A仲介を手がける大手3社の成約実績は17年に前年より4割近く増えた。経営規模が大きくなれば、生産性の向上に向けて打てる手も多くなる。

中小企業のM&Aを円滑に進めるためにまず大事なのは、経営者の意識を変えることだ。家業との意識にこだわらず、事業の存続を優先すべきだ。早いうちに経営者だけに依存しない事業運営の体制をつくることも重要だ。こうした準備は身内への承継でも役立つ。

中小企業の相談窓口となることが多い地域の金融機関などが事業承継につながるM&Aを仲介する能力を高めることも必要だ。営業地域が異なる金融機関の協力による情報の共有や、全国的なネットワークを持つ企業や団体との連携も有効だろう。

政府は18年度の税制改正で事業承継に伴う相続税や贈与税の負担を軽くしたほか、M&Aでも登録免許税などを軽減する準備を進めている。政府による支援策については、適用を受けた企業の生産性が高まっているかなど、その効果をしっかり検証する必要がある。

保存
共有
印刷
その他

関連キーワード

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報