2019年9月23日(月)

キャッシュレス化は民間の競争と革新で

2018/5/13 23:54
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日本は世界でも資金決済に占める現金の比率が高い国だ。現金の決済をカードや電子マネーなど電子決済に変えていくキャッシュレス化に関心が集まり、政府も推進の旗を振っている。

経済産業省の推計では、日本のキャッシュレス決済の比率は2015年で2割弱にとどまり、9割弱の韓国、6割の中国、40~50%台の欧米諸国に比べても低い。政府は昨年、この比率を27年に4割に上げる目標を掲げた。

政府がキャッシュレス化を推進する一つの理由は、インバウンド消費の促進だ。外国人観光客の訪問先は東京、大阪など大都市だけでなく地方圏にも広がっている。

ところが地方の小さな飲食店や土産物屋では、クレジットカードが使えないところが多く、潜在的な外国人の消費需要を取りこぼしているという問題がある。

キャッシュレス決済と一口に言ってもその手段は多様化している。クレジットカードのほか、即時に銀行口座からお金が引き落とされるデビットカード、運輸・流通業界などが発行する電子マネー、中国で急速に普及するQRコードを使った決済などがある。

零細な飲食店や小売店でキャッシュレス決済が進まない一因に、クレジットカードなどを扱うのに必要な専用端末と加盟店手数料など費用の問題がある。業界は手数料の引き下げや、専用端末の要らないQRコード決済の普及などに知恵を絞る必要がある。

キャッシュレス化の推進は、企業の生産性向上や働き方の改革にもつながる。外食大手ロイヤルホールディングスは昨年11月、現金の使えないキャッシュレス店舗の実験を始めた。

東京都中央区のその店舗では、従来は40分かけていた終業時の売り上げ管理作業を、タブレット端末を通じて瞬時で終えられるようになった。1日1回の店舗を回る現金輸送の仕事もなくなり、店舗運営コストの削減や従業員の働き方の効率化にもつながるという。

キャッシュレス化は、企業側の論理だけでは進まない。今の現金決済で不自由を感じていない利用者には、サービス向上が伴わなければ普及しないだろう。

政府が補助金を使って関連機器の普及を促すといった政策は、莫大なコストがかかるし、民間の創意工夫を阻みかねない。キャッシュレス化は利用者本位、民間の競争と革新を通じ進めるべきだ。

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