2018年11月14日(水)

アルゼンチン揺らす資金流出

2018/5/12 21:57
保存
共有
印刷
その他

アルゼンチンの通貨ペソの相場が急落し、マウリシオ・マクリ政権は国際通貨基金(IMF)に支援を要請した。米国の金利上昇を引き金とする資本流出が主な原因で、一部の新興国が直面するリスクを浮き彫りにしている。

4月下旬から5月はじめにかけて、ペソはドルに対し10%ほど下がった。この間に中銀は通貨防衛のため3度も利上げし政策金利を40%にした。それでも相場は下げ止まらず、マクリ大統領は8日、IMFに融資枠の設定を求めたことを明らかにした。

その後はやや落ち着いたが、ペソに対する下落圧力は消えていない。マクリ政権はIMFとの交渉などを通じて、市場の信頼を取り戻す方策を示す必要がある。

ペソ安の要因は、国内総生産(GDP)比で5%近くまで拡大した経常赤字や、対外債務の膨張、年率20%を超えたインフレだ。

左派政権の経済運営が行き詰まった後を受けたマクリ政権は自由主義的な改革を進めてきた。その成果が十分に出ないうちに副作用が表面化したといえる。

同国の経済運営は自由主義的な路線と反自由主義的な路線の間を揺れ動いたが、いずれも成功しなかった。地に足のついた経済改革がいまこそ求められる。

悩ましいのは、経常赤字の縮小などに向けた改革は景気に逆風となる可能性が大きく、政治的なリスクをはらんでいることだ。19年の大統領選での再選をめざすマクリ大統領にとって、国民に痛みを強いるのは容易でない。IMFとの交渉の行方は要注意だ。

アルゼンチン以外ではトルコの通貨リラの下落が目立つ。リーマン・ショック以来の超緩和的な金融情勢が「正常化」するにつれ、経常赤字を抱える新興国に対し市場の視線は厳しくなっている。

原油価格が高くなっていることも、こうした国々には逆風だ。一方で産油国には順風がふき始めたともいえる。各国経済のありようをしっかりと見極めることが、いよいよ大切になっている。

今なら有料会員限定記事もすべて無料で読み放題

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報