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睡眠不足が招く生産性低下

日本人の睡眠不足が深刻になっている。仕事中の居眠りなどにとどまらず、うつ病や生活習慣病、認知症のリスクが高まることもわかってきた。労働生産性を押し下げる一因ともなるため、企業は働き方改革のなかで社員の睡眠確保を優先課題の一つとすべきだ。

経済協力開発機構(OECD)の調査では日本人の平均睡眠時間は7時間22分と、加盟国中で最短だ。国立精神・神経医療研究センターの研究によると、これは必要な睡眠時間より1時間ほど短い。

不足の影響は蓄積し、自律神経の働きやホルモンの分泌に異常をきたす。気持ちを落ち着けストレスを低下させることが十分にできず、うつ病を発症しやすくなる。

血糖値を調整するインスリンや血圧の調整にも支障が生じ、糖尿病の悪化などにつながる。アルツハイマー病と関係が深い、脳内にたまった不要なたんぱく質の排出機能が弱まる。週末の寝だめでは改善しないこともわかってきた。

働き盛りの人では実際の睡眠時間は平均よりも短く、5~6時間の場合も多い。必要な睡眠時間には個人差があるとはいえ、これではまったく足りないというのが専門家に共通した見方だ。

ところが残念なことに、仕事の生産性向上や働き方改革を考える際、十分な睡眠の確保という視点は忘れられがちだ。

早朝の出勤や勉強会などを奨励し、残業の短縮をめざす企業が増えるなかで、夜の時間を自己研さんや自宅での仕事に使う人は少なくない。働き方を柔軟に決められることは大切だが、睡眠時間がさらに減る懸念が出ている。

終業から始業までの間に一定時間を確保する「勤務間インターバル制度」は、通勤時間を差し引いても間隔が短くなりすぎないよう設計すべきだ。不規則な交代勤務が必要な職場でも、睡眠を犠牲にしない工夫が要る。

心身の病が増えれば生産性の低下だけでなく、医療費の膨張も招く。国の健康政策でも、睡眠問題をもっと重視すべきだ。

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