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特区活用の公正さが疑われかねない

学校法人「加計学園」の獣医学部新設をめぐり、衆参両院の予算委員会が柳瀬唯夫元首相秘書官(現経済産業審議官)を参考人招致した。柳瀬氏は2015年に加計学園の関係者と計3回、首相官邸で面会したと明らかにした。野党は特区認定で特例的な扱いがあったと反発を強めており、経緯をさらに解明していく必要がある。

獣医学部を誘致した愛媛県や今治市の関係者と政権幹部の会談の有無は、野党が昨年から国会で何度も追及してきた。柳瀬氏は今年4月に愛媛県で面会記録が見つかっても「自分の記憶の限りでは、お会いしたことはありません」との談話を発表していた。

柳瀬氏は10日、加計関係者と15年の2~3月ごろ、4月、6月に計3回接触したと認めた。4月の面会は「随行者に愛媛県や今治市の方がいらしたかもしれない」と軌道修正した。加計孝太郎理事長や学園幹部とは、13年5月に安倍晋三首相の山梨県の別荘で面識を持ったと明らかにした。

愛媛県の面会記録に残る「本件は首相案件」との自らの発言は否定し、「国家戦略特区制度は安倍政権の看板政策だ」などと言及した可能性に触れた。

柳瀬氏は獣医学部の新設に関して「首相から個別具体的な指示はなかった」と説明したが、面会の事実を当初は隠そうとしたと疑われても仕方がない。安倍政権では何か問題を指摘されると幹部が事実を否定し、後に発言を修正するケースが相次いでいる。

野党は「獣医学部の新設が『加計ありき』だったと裏付けられた」と主張し、加計理事長らの証人喚問を改めて求めた。

特区は地域限定で規制を緩和し、既得権益の打破や経済の活性化をめざす仕組みだ。国家戦略特区ワーキンググループの八田達夫座長は10日の衆院予算委員会で、特区認定をめぐり「首相からも秘書官からも何ら働きかけを受けたことはない」と証言した。

官邸主導で改革の方向性を示すこと自体に問題はない。しかし特区の誘致をめざす自治体や事業を担う団体は平等に扱うのが前提で、制度の公正さが疑われるような運用は避けねばならない。

今国会は働き方改革や環太平洋経済連携協定(TPP)の承認など議論を尽くすべき課題が多い。疑惑の追及だけに時間を割くわけにはいかず、与野党は並行して重要案件の審議を急ぐべきだ。

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