2019年6月26日(水)

無責任な米国の核合意離脱

2018/5/10 1:20
保存
共有
印刷
その他

トランプ米大統領が、欧米など6カ国とイランが結んだ核合意からの米国の離脱を表明した。「最大の経済制裁」をイランに科すという。多国間合意からの一方的な離脱は中東を一層の混乱に陥れる危険がある。展望を欠いた行動は無責任と言わざるをえない。

核合意は米国や英国、フランス、ドイツ、ロシア、中国の6カ国が2015年に、イランと調印した。トランプ氏は大統領選挙戦の期間中から合意を批判し、内容の不備が修正されなければ離脱すると警告してきた。

トランプ大統領は演説で、イラン核問題の「包括的で永続的な解決策を探る」と語ったが、具体的な道筋は示さなかった。透けて見えるのは、中間選挙を控えて、公約を守る強い指導者像を示そうという国内向けの思惑だ。

離脱後の戦略もなく圧力を強めるだけでは核問題は解決しない。合意の維持を訴え、米国に離脱を思いとどまるよう説得を試みてきた英仏独には、失望が広がっている。国際協調に背を向けるトランプ流の外交は米欧の亀裂を広げ、米国は孤立を深めるだろう。

大統領は今回の措置を首脳会談を控えた北朝鮮への「重大なメッセージ」と述べた。非核化をめぐる交渉で妥協はしないとの決意を示したとされる。だが、イラン核合意で見せた対応は、国際合意を自らの都合で破る「信用できない国」と映らないだろうか。

米国の離脱表明にイランは反発している。ただロウハニ大統領は、米国抜きの合意が存続できるのか、まず欧州などの当事国と交渉する考えを示した。

大切なのは米国の離脱を理由にイランにウラン濃縮などの活動を再開させないことだ。核合意が崩壊しイランが開発再開に動けば中東の核開発競争に火がつく。

原油価格が3年5カ月ぶりの水準に上昇するなど、イラン情勢の緊迫は世界経済に影響を及ぼしつつある。核合意にイランをどうつなぎとめるのか。日本を含む国際社会の緊急課題である。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報