2019年6月17日(月)

北の「完全な非核化」へ中韓を取り込め

2018/5/10 1:20
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日本と中韓両国との歴史認識や領土をめぐる対立は根深く、関係全般に影を落としてきた。だからこそ首脳同士が頻繁に会い、胸襟を開いて語り合うことが重要になる。2年半ぶりとなった日中韓首脳会談の開催を歓迎したい。

特に今回は、4月の南北首脳会談で朝鮮半島の完全な非核化をうたった「板門店宣言」がまとまり、米朝首脳会談へとつながるタイミングでもあった。

北朝鮮の完全な非核化へ3首脳が連携を確認したのは当然だ。安倍晋三首相は共同記者発表で「北朝鮮の諸問題に関する累次の国連安保理決議を履行するのが3カ国共通の立場だ」と表明した。問題はどう実現するかである。

日本は米国とともに、北朝鮮に核兵器やあらゆる弾道ミサイルの完全かつ検証可能で不可逆的な方法による廃棄を求めてきた。

一方、中国は北朝鮮が主張する「段階的で歩調を合わせた措置」を支持している。非核化へ行動するたび関係国が見返りを与える方式で韓国内にも容認論がある。

北朝鮮は核保有を宣言しミサイル技術も進展した。完全な非核化へのハードルは高くなっている。北朝鮮の口約束に終わらせないために、核放棄の期限と行程表を含む後戻りできない仕組みが欠かせない。中韓との足並みの乱れは北朝鮮に付け入る隙を与える。

中国の習近平国家主席は北朝鮮の金正恩委員長と1カ月あまりで2度目の会談をするなど、存在感を示した。その直後にはポンペオ米国務長官が再訪朝した。北朝鮮を挟んだ米中の主導権争いは、激しさを増している。

南北を急接近させたのは「戦争の恐怖」だ。軍事行動も辞さないトランプ米大統領の「最大限の圧力」が金正恩氏を追いつめた。その背後に米中の連携があったのは間違いない。北朝鮮の後ろ盾となる中国が完全な非核化の重要なカギを握る構図は、変わらない。

板門店宣言には、朝鮮戦争の休戦協定を平和協定に転換するため韓朝米または韓朝米中の協議を推進するとある。朝鮮半島の将来像は日本の安全保障に多大な影響を与える。日本が関与できる足場を増やしておくのが望ましい。

拉致、核、ミサイルの包括的な解決をめざす日本は米朝首脳会談後までにらんだ戦略づくりが求められる。米国との結束を固めながら、中韓も取り込んだ重層的な外交を展開すべきである。

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