デサント、新通販サイト ブランド横断、円滑に購入
戦略ネットBiz

2018/5/12 6:30
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デサントは4月から新たなネット通販サイトを開設した。従来は自社の各ブランドサイトから購入につなげる動線がバラバラだったが、順次、消費者が買い回りしやすくする。店舗とネットで別だった会員も統一。「デサント」「アンブロ」「ルコック」など多くのブランドを抱えるがゆえに全社での統一感が課題だった。今後は全社一体となってデジタル戦略を推し進める。

すっきりとしたデザインに加え、使い勝手が改善した新ECサイト

すっきりとしたデザインに加え、使い勝手が改善した新ECサイト

新たな通販サイト「デサントストア」は、同社が国内で展開している15ブランドの大半の商品を掲載している。写真の大きさなどを工夫し、各ブランドの世界観が伝わるつくりを目指した。

海外売上高が国内を上回るデサントにとって、国内事業の命題は稼ぐ体制づくり。そのカギを握るのが顧客との接点を持ち、在庫も自らコントロールする自主管理比率の拡大だ。現状は30%だが、2020年度までに50%に高める計画。ネット事業は、直営店や百貨店内の自前の売り場と共に、こうした戦略の一端を担う。

もっとも、国内売上高に占めるネット比率は足元で7%前後。スポーツアパレルは微妙なサイズ感が求められるとはいえ直営店などと連動したオムニチャネル戦略もこれから。デジタルマーケティング戦略室長を務める小林弘明執行役員は「競合他社より進んでいるとは言えない」。まずはEC比率を20年度までに10%に引き上げる。

新サイトのポイントは買い回りのしやすさだ。例えば、従来はあるブランドサイトを見ていた顧客が、商品を気に入って購入ボタンを押すと、既存の通販サイト「デサントオンラインショップ」のトップページに移動。改めて欲しい商品を探し直すなど使い勝手が悪い面があった。

改善するため各ブランドサイトを動かすプラットフォーム(基盤)を順次、年末までに新サイトと同じものに切り替える。「買いたい顧客がスムーズに購入までつながる」(小林執行役員)。商品が欲しいと思った顧客が途中で購入を諦めることがないようにストレスなく誘導するための作り込みが十分でなかった。

こうしたボトルネックは、デサントが多くのブランドを束ねる商社のような性格を持っていることと関係がある。小林執行役員は「例えば、『ルコック』を当社が手がけていることを知らない人は多い」と話す。現場の担当者がブランドごとに張り付き、「皆、自分が関わるブランドをいかに伝えるかだけを考えている」(同)。その結果、各ブランドでネット上のつくりが異なっていた。

今後は世界観やサイト上の見せ方などは各ブランドの意向を尊重しつつ、使い勝手を高め、サイト上での滞在時間をいかに長くするかなどのノウハウも全社的に共有、統一していく方向だ。

新サイトとほぼ同じタイミングで新たな会員制度「クラブデサント」も立ち上げた。これまでは実店舗とネット通販でポイントが別々だったのを一緒にした。顧客データを分析してマーケティングに生かす仕組みはまだ本腰を入れたばかり。ただ、デサント社内には中途入社を含め「データ分析に秀でているなど意外と人材はいる」。ソニー出身で、同社でモバイル部門のデジタル戦略を担っていた経歴を持つ小林執行役員はこう語る。

各サイトを動かすプラットフォームなどは近く構築できるが、デジタル分野は世に出したサービスを改善し続ける必要があり、「作って終わり」の従来型思考も変えないといけない。「アナログのゴールがデジタルのスタート」(小林氏)と発想転換できるか、人材の確保・育成も注力していく考えだ。

(小泉裕之)

[日経MJ2018年5月9日付]

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