外国人就労サイト「YOLO JAPAN」 企業の海外進出も支援
先読みウェブワールド (野呂エイシロウ氏)

2018/5/10 6:30
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ベレー帽に派手なメガネ。今まで一度も会ったことがない感じの経営者だ。

「3年前にロードバイクで交通事故を起こし、5日間、意識不明で生死をさまよいました。それまでは自分ができることを事業にしてきましたが、生まれ変わったなら、次の世代がぶつかる社会の課題を解決しようと決意しました」と語るのは、YOLO JAPAN(大阪市)の加地太祐社長。メガネに似合わず、眼光は非常に鋭い。

YOLO JAPANのサイトは英語や中国語など多言語対応している

YOLO JAPANのサイトは英語や中国語など多言語対応している

厚生労働省の調べによると、外国人労働者数は127万8670人で、5年連続で増えているという。同社は「日本で働きたい」と思う外国人が閲覧しているサイト「YOLO JAPAN」を運営している。サイトの登録国籍は209カ国、累計4万人をうたっている。国連加入国が193カ国なので驚く。

最初は外国人に口コミで伝わり、今や日本で働きたい人は必見のサイトへと成長している。もちろん、就労ビザが必要だ。身分証明の確認などを厳密に行っている。

サイトを見ると、時給1050円の飲食店や、旅行サイトの運営プロジェクトは年収が600万円から、なぜかタイ・プーケット島の仕事まで様々だ。

面白いのはモニターという仕事だ。サイトには、ヨーロッパ出身白人女性向けモニターや新製品大好き中国人の募集などがある。報酬も一回8000円と高額。聞けば、企業のマーケティング調査だという。数時間の拘束で8000円~1万数千円など幅広い。

これまで海外進出したい日本企業は、マーケティング活動を海外で行ってきた。だがそのコストは膨大で、数百万円から数千万円がザラだ。

しかも時間もかかる。そこで、YOLO JAPANが必要な国の外国人を集め、マーケティング活動を支援しているのだ。外国人も慣れない仕事をする訳ではなく、クライアントさんの製品を使って感想を言うだけなので非常に割のいい仕事だという。209カ国も登録しているので、ほぼ網羅していると述べても過言ではない。企業も日本国内で調査が可能だ。

某家電メーカーは、電動カミソリの調査を依頼。モーターの音がハエの音のように聞こえて不快というある国の人のクレームを受けて改善し、輸出が成功したという。

訪日外国人が電車の券売機が理解できなくて、特急券を誰も買わない。そもそも海外では特急券を買うという概念がなく、実際に外国人に券売機を触らせて、開発中の券売機の形状や仕様変更にもつなげた。日本で売れているヘアアイロンを、人種の違う様々な外国人の髪の毛で実験したこともあるという。

のろ・えいしろう 愛知工大工卒。学生時代から企業PRに携わり、出版社を経て日本テレビの「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」で放送作家デビュー。戦略PRコンサルタントとしても著作多数。愛知県出身。

のろ・えいしろう 愛知工大工卒。学生時代から企業PRに携わり、出版社を経て日本テレビの「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」で放送作家デビュー。戦略PRコンサルタントとしても著作多数。愛知県出身。

そう、日本にいる外国人が世界進出する日本企業のマーケティングを支えているのだ。まさに目からウロコだ。

訪日外国人にどのように日本を感じてほしいか、加地社長に聞いてみた。「希望をもって働きながら、日本人と共存していく。そんな期待と希望を感じてもらいたい」と話はとまらない。

3月には、ぐるなびと業務提携。飲食店へのアルバイト紹介を加速化させている。南海電気鉄道と提携し、大阪市に外国人のための外国人の就労のためのマッチング施設を2019年秋に開業予定である。来日外国人の「第二の故郷」としての役割も担いたいと考えているという。

少子高齢化など日本の抱える問題が大きいが、地球規模で考えれば解決できることは山ほどある。そう確信した取材であった。

[日経MJ2018年5月6日付]

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