2018年5月26日(土)

米経済の回復妨げぬ慎重な政策運営を

社説
2018/4/30付
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 米経済の底堅い回復が続いている。1~3月期の実質成長率は前期比年率2.3%(速報値)で、いまの実力といわれる2%弱を4四半期連続で上回った。

 だが長期金利の上昇や貿易摩擦の激化などが、景気の回復を妨げる懸念は残る。トランプ米政権と米連邦準備理事会(FRB)の慎重な政策運営が必要だ。

 2009年7月に始まった米国の景気回復局面は、この5月で戦後2番目の長さとなる。トランプ政権の大型減税や歳出の拡大を追い風に、戦後最長の10年間を超える可能性も出てきた。

 国際通貨基金(IMF)によると、米国の実質成長率は18年が2.9%、19年が2.7%となり、17年の2.3%から加速する見通しだ。堅調な米経済が世界経済を引っ張り、主要国の同時回復が持続するよう期待したい。

 しかしトランプ政権の大規模な財政出動は、景気過熱やインフレのリスクと背中合わせだ。金融政策の正常化に取り組むFRBが、想定以上の急激な引き締めを迫られる恐れがある。

 米国の長期金利はじりじりと上昇し、24日には4年3カ月ぶりに3%台に乗せた。市場が財政の悪化や利上げの加速を意識しているのは確かだろう。

 FRBは年内にあと2回の利上げに動くシナリオを中心に据えている。そのペース次第では、米経済のみならず世界経済にも不測の事態が生じかねない。

 FRBは景気や物価の動向を見極めながら、過不足なく利上げを進めるべきだ。市場との対話にも万全を期し、利上げの判断を十分に織り込ませてほしい。

 トランプ政権にも注文がある。保護主義への傾斜を強め、主要国との貿易摩擦をあおるような行為を厳に慎まねばならない。

 米国が強行した鉄鋼やアルミニウムの輸入制限は、関連製品の値上がりを誘発している。FRBがまとめた地区連銀経済報告では、製造業や建設業への影響が浮き彫りになった。

 中国などへの制裁関税が企業収益や個人消費を圧迫し、景気の足を引っ張るのが心配だ。トランプ政権が自賛する大型減税の効果も減殺されるのではないか。

 いまの米国は景気後退への対応力を欠く。金融緩和の余地は乏しく、これ以上の財政出動も難しい。トランプ政権は米経済に余計な負荷をかけてはならない。

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