2018年10月23日(火)

日銀は市場との対話の技術を磨け

2018/4/28 20:38
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日銀は27日、黒田東彦総裁の再任後初めてとなる金融政策決定会合を開き、現行の金融緩和政策を維持した。同時に発表した四半期に1回の「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」のなかで、従来は「2019年度ごろ」としていた2%の物価目標の達成時期の文言を削除した。

文言を削除する一方で、19年度の物価見通し自体は据え置いた。この変更について、黒田総裁は「見通しが、目標達成の期限ではないことを明確にするため」と説明している。

黒田総裁は就任直後の13年4月に大規模な金融緩和を始めるにあたり「2年で2%の物価目標を達成する」というメドを示していたが、想定通りに物価は上がらなかった。

その後は、総裁は目標達成の時期を明言しなくなった。その代わり、市場関係者は、四半期に1回公表する展望リポートの物価見通しで2%に到達する時期を事実上の達成のメドと受け止めるようになった。

この物価見通しは昨年7月まで6回にわたって下方修正され、そのたびに市場では「目標未達」という見方が広がった。目標に届かない場合は、日銀が追加緩和策に動くのではないかという観測もしばしば浮上した。

日銀が今回の見直しに動いたのは、日銀と市場の2%目標をめぐる認識の溝を埋め、市場との対話を円滑にしようとする試みだ。

総裁は2%目標の達成については「できるだけ早期に実現する」という13年に公表した政府と日銀の共同声明の表現を繰り返した。一方で、同じく2%を掲げる欧米の中央銀行のような中長期の目標ではないとも指摘した。

展望リポートの見通しを達成時期の目標ではないことを明確にしたのは一歩前進だが、物価目標の性格についてはまだわかりにくい面もある。日銀はさらに市場との対話を丁寧に進める必要がある。

日銀は16年9月に金融緩和策の効果と副作用を総括的に検証し、操作目標を資金供給の量から金利に移す政策の調整を実施した。

物価は2%には届かないものの、景気は拡大し雇用情勢も逼迫が続いている。2%を達成するために、金融緩和を強化する必要はない局面だ。日銀は今後も金融緩和策の副作用も含めて政策の検証を柔軟に進め、必要な修正をためらうべきではない。

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