2018年5月22日(火)

カジノの懸念に応える審議を

社説
2018/4/28付
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 カジノを含む統合型リゾート(IR)の運営ルールを定めたIR実施法案が閣議決定された。政府はいまの国会での成立を目指している。施行されれば、当面国内で3カ所を上限とする候補地の選考など、カジノ開業に向けた動きが本格的に始まる。

 カジノをめぐっては、特にギャンブル依存症に対する懸念が大きい。このため政府・与党はこれまで、「世界最高水準の規制を設ける」などと説明してきた。

 その結果できあがった法案では、日本人客の入場を「週3回、月10回までに限り、6千円の入場料を徴収する」としている。だがこのレベルの規制が、依存症防止にどの程度効果があるのか疑問だ。説得力のある根拠にもとづいたものとも思えない。

 カジノ事業から反社会的な勢力を排除する方針についても、実効性のある対策がとれるかどうか不透明である。たとえば経営陣や従業員らの過去の犯罪歴や交友関係といった事実を、どうやって調べることになるだろうか。

 この法案で、国民が抱くカジノへの不安や懸念が払拭されるとは思えない。2016年には今回の実施法案に先立ち、IR整備の理念などを定めたIR推進法ができたが、このとき政府・与党は国会の終盤で唐突に法案を審議入りさせ、強引に成立に持ち込んだ。

 あのようなやり方は許されない。今度こそカジノのマイナス面も含めていねいに説明し、十分な時間をかけて審議をすべきだ。

 そもそも日本では、パチンコや、競輪・競馬などの公営ギャンブルにより、依存症の疑いがある人の割合が他国に比べて高いというデータがある。一方で、依存症の相談窓口や医療体制は整備されていない。

 こうした依存症の対策に総合的に取り組むため、国会にはすでにギャンブル依存症対策基本法案が提出されている。まずはこちらを優先して審議し、対策の枠組みを作るべきだ。そのうえでカジノ解禁を考えるのがスジである。

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