2018年5月22日(火)

板門店宣言を北の完全非核化につなげよ

社説
2018/4/28付
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 北朝鮮の核放棄に向けた一歩となるのだろうか。韓国の文在寅大統領と北朝鮮の金正恩委員長が南北の軍事境界線のある板門店で会談し、「完全な非核化を通じ、核のない朝鮮半島の実現」をめざすとした共同宣言を発表した。

 南北首脳会談の開催はおよそ10年半ぶりで、今回で3回目だ。

 もっとも過去2回の会談はいずれも平壌で開かれた。北朝鮮の最高指導者が軍事境界線を越え、韓国側に入ったのは初めてだ。共同宣言の署名後には、両首脳がともに記者発表に臨む演出もあった。南北融和を象徴する歴史的な出来事になったといえるだろう。

 「板門店宣言」と題した共同宣言は、「完全な非核化」を通じて「核のない朝鮮半島」を実現する共通目標を確認したと明記した。朝鮮戦争の休戦協定を平和協定に転換すべく、南北と米国、あるいは南北と米中4カ国による協議を積極的に進めるとしている。

 南北間ではすべての敵対行為をやめるほか、文大統領の今秋の訪朝などでも合意した。金委員長は南北が「緊密に協力して良い結果を出すよう努力する」と述べた。

 北朝鮮は先の朝鮮労働党中央委員会総会で、核実験や大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射の中止、核実験場の廃棄を決めたが、非核化の意思は示さなかった。宣言に「完全な非核化」が盛り込まれたことは一定の評価ができる。

 ただし宣言は、北朝鮮の核放棄に向けた具体策は一切触れていない。北朝鮮としては、核問題については、6月初旬までに予定される初の米朝首脳会談で突っ込んで協議する腹積もりなのだろう。

 北朝鮮は過去にも「非核化」や「核放棄」を約束しながら、結局はほごにしてきた経緯がある。北朝鮮に「完全な非核化」の意思が本当にあるのなら、こんどこそ米国が求めているような完全、検証可能で不可逆的な核放棄の実現につなげなければならない。

 北朝鮮が南北融和にまい進する背景には、韓国を突破口に国際的な制裁圧力を緩和する思惑があるとみられる。金委員長は先の中国訪問の際に、非核化の条件として「段階的で同時的な措置」を挙げたという。みせかけの「非核化」に向けた行動を小出しに掲げ、その度に経済支援などの見返りを求める恐れは十分あり得る。

 日米韓は引き続き北朝鮮への制裁圧力を維持しつつ、米朝首脳会談への準備を進めていくべきだ。

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