2018年10月24日(水)

農漁業を働き方改革の例外にするな

2018/4/25 23:19
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政府が国会に提出した働き方改革関連法案は、建設業や自動車運転業務にも5年間の猶予期間を経て時間外労働の上限を設ける。しかし、今回の改革でも労働時間などの規定が定められず、例外として残る分野がある。農漁業だ。

小規模な家族経営であれば、これまで通りの自己管理でいいかもしれない。しかし、農産物を生産、販売する法人は2015年までの10年間で2.2倍に増えた。政府は人手不足を補うため、外国人の雇用もさらに増やす考えだ。

農業法人などと雇用契約を結び、就業する働き手を増やそうとするのであれば労働条件を整える必要がある。長時間労働を是正し、休日を確実にとれる環境に変えなければ、少子化が進む中で新たな人材は確保できない。

農漁業も働き方改革の例外とせず、年間労働時間などに一定の上限を設けられるように構造改革を進めるべきだ。

農漁業に労働時間や休憩、休日の規定が適用されない理由には、天候などの自然条件に影響されやすいことがある。ただ、全国に21ある直営農場で野菜などを生産する農業法人、イオンアグリ創造(千葉市)で働く約650人の社員の働き方は一般企業とほとんど変わらない。

1日8時間以上働く場合は、計1時間の休憩時間がある。合わせて12カ月以内の範囲で、産休・育休もとれる。出荷作業などの繁閑をみて農場間で社員を移動させたり、長期休暇で足りなくなる人手は数人いる「フリーの社員」が埋めたりする工夫によって、一般企業と同じ労働環境を実現した。

同じような取り組みは漁業でも応用できる。それには地域を越えた人の移動を可能にする大規模経営や、厳格な労務管理が必要だ。小さな漁業協同組合単位の発想に閉じこもってはならない。

農業の現場で働く外国人は昨年10月時点で2万7千人強と、5年間で7割も増えた。漁業でも年々、外国人への依存度は増す。今年中には愛知県、新潟市などの国家戦略特区で、派遣契約による外国人就農も始まる見込みだ。

しかし、外国人技能実習制度は、賃金不払いなどの不正行為が根絶できておらず、国連からも批判されたことがある。国家戦略特区での雇用も、農業だからという理由で労働時間などの明確な規定は設けられていない。外国人を増やす前に、労働環境の改善が要る。

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