2018年8月20日(月)

証券決済短縮を市場の魅力向上に生かせ

2018/4/25 0:14
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 国債や株式など証券の取引で、投資家が売買を決めた日から、実際に受け渡しする決済の日までの日数が短くなる。2008年の金融危機時に決済面も混乱した経験があり、できるだけ日数をあけない取り組みは、世界的な流れだ。投資家が使いやすく安心して取引できる市場へ、魅力をいっそう高める機会として生かしたい。

 国債の取引では5月1日から、約定した翌営業日が決済する日になる。日本が決済短縮化へ検討を始めたのは09年。まず12年に1日縮めて2営業日後にし、今回さらに1日短くなる。10年越しの取り組みがようやく実現する。

 金融危機は決済の面からも苦い経験だった。相手先の破綻で代金をもらえなかったり、買ったはずの国債が届かなかったりする事態が相次いだ。他の取引にも影響し、受け渡しの遅れが連鎖した。

 決済までの日数が短くなれば、未決済で残っている残高を減らせる。急に市場の流動性がなくなるようなリスクを抑えられる。非常時だけでなく、短縮化により国債の換金がしやすくなり、短期資金の運用先として魅力が増す。

 株式では19年の実施をにらんで決済短縮化の準備が進む。いまは売買の3営業日後が決済日だが、1日縮めて2営業日後になる。

 国内の金融機関同士の取引が大半の国債に対し、株式は一般の個人の参加も多い。担保を使った信用取引の決済や、配当金を受け取る権利を得る売買日にも影響してくる。幅広い周知が大事だ。

 実際の株式取引は海外投資家の方が多く、6~7割を占める。取引関係者は多岐にわたり、複雑だ。時差も考慮し、円滑に手続きが進むための手当ても必要になる。

 証券決済の短縮化で先行するのは欧米だ。株式の場合、欧州に続いて米国も17年秋に1日縮めて2日後の決済に移った。これ以上、日本は後れをとってはならない。

 決済を巡る対応は、次世代をにらんだ市場インフラづくりの好機になる。コンピューターが瞬時に売買を繰り返す超高速取引が広がる時代だ。公正かつ信頼性を確保しつつ、多様な取引に機動的に対応できる基盤づくりや新たな技術の検討も大切だろう。

 ブロックチェーンと呼ばれる分散型台帳の技術を用いた決済や照合方法の研究もその一つだ。市場間の競争は情報技術の競争でもある。世界をリードしていく努力を怠ってはならない。

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