2019年3月26日(火)

インドにローン革命の波
SmartTimes (佐藤輝英氏)

コラム(ビジネス)
2018/4/25付
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インドでは携帯電話の急速な普及に伴って、個人向けローンの世界でも地殻変動が起きている。同国の個人向けローン市場は、国内総生産(GDP)比で11%と、米国の79%、中国の48%と比べると著しく低いレベルにあった。

1997年慶応大総合政策学部卒、ソフトバンク入社。2000年ネットプライス(現BEENOS)社長、同社を上場に導く。15年シンガポールを拠点に起業家支援のBEENEXT設立

1997年慶応大総合政策学部卒、ソフトバンク入社。2000年ネットプライス(現BEENOS)社長、同社を上場に導く。15年シンガポールを拠点に起業家支援のBEENEXT設立

特に人口の大多数を占める世帯年収100万ルピー(165万円程度)以下の一般層、その下の中間層にはなかなか行き渡らなかった。ローン普及を妨げていた大きな原因の一つは、それらの大衆層をカバーする体系化された個人信用データがなかったことである。

これが、昨今の格安スマートフォン(スマホ)の普及と、UID(インド版国民ID)の普及でシステム化が急速に進み、この巨大市場に様々なスタートアップが参入し始めている。

バンガロールにある個人向けモバイルローンのシュブローンもその一社だ。借り入れフローは非常にシンプルで使いやすい。まず、ローン申し込み希望者は5メガバイトの容量の小さなスマホアプリをダウンロードする。アプリは英語、ヒンディー語に加えて6つのローカル言語に対応しており、日ごろ自分がメインで使う言語で申し込みができる。

ユーザーは、このアプリに自分の給与額や銀行口座の明細など個人情報を入力し、本人登録をする。その後、シュブローン側で、ユーザーの携帯電話に届くSMSメッセージ(インドでは金融機関との取引後に必ずSMSメッセージが届く)や、全地球測位システム(GPS)のデータ、ソーシャルネットワークに登録されているデータを組み込み、100点満点のクレジットスコアを形成する。

例えば、毎朝同じ時間帯に同じ場所に通勤しているか、登録された自宅住所や職場住所がGPSから収集したデータと異ならないか、SMSメッセージから読み取れる消費パターン、ソーシャルグラフで誰とつながっているか等を、独自のアルゴリズムで解析し、信用スコアを計算。個人毎に適切なクレジットを付与するというわけだ。

シュブローンのアプリ画面。給与や金融機関からくるSNSメッセージなどから、各個人の信用スコアがはじき出される

シュブローンのアプリ画面。給与や金融機関からくるSNSメッセージなどから、各個人の信用スコアがはじき出される

一方、実際のローン資金は、提携する金融機関(現時点で9つの金融機関と提携している)から拠出される。シュブローンは、各金融機関へ信用スコアと顧客へのリーチを提供するというビジネスモデルである。借り手の主なローン使途としては、既存ローンの借り換え、医療費、教育資金、結婚資金といったもので必要性が高いものが多い。

シュブローンのシュブは、ヒンディー語で幸運を意味する。今までローンにアクセスできなかった中間層にテクノロジーの力で門戸を開くことを目的としていて、2016年末のサービス開始から、既に35万人のユーザー登録がある。20年には1.2兆ドルへと成長するといわれるインドの個人向けローン市場。ここでも一般大衆層に向けた金融サービスの民主化が起きていることを感じる。

[日経産業新聞2018年4月25日付]

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