2018年8月20日(月)

G20は保護主義の自制を促し続けよ

2018/4/22 23:22
保存
共有
印刷
その他

 20カ国・地域(G20)の財務相・中央銀行総裁会議が19~20日、米ワシントンで開かれた。保護主義への傾斜を強める米国と、これに反発する先進国や新興国との対立が解けずに終わった。

 米国と主要国の貿易摩擦が激化すれば、世界経済の回復を妨げる恐れがある。米国が一方的な制裁措置を控えるのが何より重要だが、主要国もG20の場で米国の自制を粘り強く促すべきだ。

 世界銀行の予測によると、2018年は世界の需要不足が10年ぶりに解消するという。米国や中国、日本、欧州などの同時回復が続き、世界経済が底堅い成長を維持しているのは心強い。

 だが今回のG20では、米国の保護主義が重大なリスクになりかねないとの懸念が相次いだ。11月の中間選挙をにらみ、内向きの通商政策で支持基盤固めに動くトランプ米政権に対し、主要国が危機感を抱くのは当然だろう。

 米国は鉄鋼やアルミニウムの輸入制限、中国の知的財産権侵害に対する制裁措置を強行した。中国などとの貿易戦争を誘発し、世界経済を縮小均衡に追い込む危険な行為と言わざるを得ない。

 G20の場でも国際協調の輪を乱し、自らの保護主義の正当化に終始したもようだ。麻生太郎財務相らがいくら警鐘を鳴らしても、ムニューシン米財務長官に響いたようにはみえない。

 それでも各国は手をこまぬいているわけにはいかない。3月に開いた前回のG20財務相会議では、貿易戦争の回避に向けた「さらなる対話や行動が必要だ」との声明を採択した。その努力を継続し、米国の軌道修正を促すべきだ。

 「G20は世界貿易機関(WTO)ではない」。議長を務めたアルゼンチンのドゥホブネ財務相は、保護主義自制への強い決意を示すどころか、この枠組みで通商政策を取り上げるのは限界があるとの考えをにじませた。

 米国に国際ルールの順守を迫るうえで、WTOの役割は確かに大きい。しかしG20が保護主義回避の責任を放棄するようでは、その存在意義が問われよう。

 心配なのは貿易摩擦だけではない。米国の金融引き締めなどに伴う金利の上昇や、シリア情勢の緊迫をはじめとする地政学リスクにも、十分に目を凝らす必要がある。G20それぞれが適切な政策運営に努め、世界経済の安定に協力しなければならない。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報