2018年5月26日(土)

実験中止では核放棄の道がみえない

2018/4/21 21:45
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 北朝鮮が核実験と大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射実験を中止し、北部の核実験場も廃棄すると表明した。一方で、最も重要な非核化に言及しなかった。核放棄への道筋がみえない不十分な内容と言わざるをえない。

 朝鮮労働党の中央委員会総会は20日、核・ミサイル開発を進める路線を転換し、経済建設に集中する方針を打ちだした。27日に開く11年ぶりの南北首脳会談や、6月上旬までに予定する初の米朝首脳会談を前に柔軟姿勢を演出する狙いとみられる。

 とはいえ、これは現状の凍結にすぎない。既に金正恩委員長は3月に訪朝した韓国高官に、対話の実施中は核実験やミサイル発射を凍結する考えを示している。

 今回、中止を表明したのも、核・ミサイル実験のみだ。豊渓里の核実験場は繰り返された実験により、崩壊しかかっているとの情報もある。

 金正恩氏は「国家核戦力建設という大業を短期間に完璧に達成した」と誇示した。「わが国への核の威嚇がない限り、核兵器を絶対に使用しない」とも語った。

 韓国や米国との会談で「非核化」を宣言したとしても、まずは核保有国の立場を認めさせた上で交渉に臨む戦略が透ける。完全かつ検証可能で不可逆的な方法での核放棄を譲れない一線とする日米とは隔たりが大きい。

 北朝鮮は過去にも「非核化」や「凍結」「放棄」を表明したが、実現しなかった。

 関係国が合意づくりを優先したことで、結果的に核・ミサイル開発の時間稼ぎに使われた失敗を繰り返してはならない。非核化に期限を設け、厳しい査察を科すのも不可欠だ。

 日米は先の首脳会談の際に北朝鮮への「最大限の圧力」の維持で一致した。それでもトランプ米大統領の出方には懸念も残る。

 今回の北朝鮮の決定をトランプ氏は「大きな進展だ」とツイッターに投稿した。米朝を仲介した韓国大統領府も「非核化のための意味ある進展」と評価した。

 北朝鮮を対話に動かしたのは、日米韓主導の圧力路線にほかならない。この先、北朝鮮と向き合う米韓との協調が肝要だ。

 5月上旬に東京で開く日中韓首脳会談は日本が議長国の立場を生かす好機となる。完全な核放棄へ北朝鮮を追いこむため多角的な外交にアクセルを踏むときだ。

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