2018年5月26日(土)

海賊版サイトの横行が漫画を破壊する

2018/4/20 23:29
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 作家や出版社に無断で人気漫画をインターネット上に載せて、サイト来訪者にタダで読ませる海賊版の問題が深刻化している。作家や漫画家が受け取るべき対価を不当に奪う行為であり、放置すれば日本の文化基盤を損ないかねない。政府や出版業界の実効性ある対策が必要だ。

 ネット上の海賊版は昔からあったが、漫画については過去1年でサイトの使いやすさなどが格段にに“進化”し、若い世代をはじめとして利用者が広がった。

 「ワンピース」などの人気漫画の新作が掲載誌の発売日前に読めるケースもある。順調に拡大してきた正規の電子コミック市場の伸びが昨年半ば以降、急速に鈍化するなど実害も出ている。

 こうした状況を踏まえ、政府は先週、特に悪質な3つのサイトへのネット接続をブロッキング(遮断)しても違法ではないとして、通信会社に協力を求めた。

 法学者や日本インターネットプロバイダー協会などは「十分な議論のないまま、通信の秘密を危険にさらすような政策が出てきた」と批判する。

 だとすれば、英独仏など世界42カ国で実施されているように、法整備によって、悪質サイトのブロッキングを可能にする道を検討すべきだ。海賊版のサーバーは海外に置かれ、日本の警察権が及ばないことが多い。通信の秘密や表現の自由を守るのは当然だが、他方でブロッキングは違法サイトを封じ込める有力な手段の1つだ。

 そのほか海賊版サイトへ誘導する「リーチサイト」の違法化や、海賊版の収入源とみられる広告の遮断など取り得る手立てを総合的に検討したい。海賊版の取り締まりを進めるために国際的な協力体制も必要だろう。データが国境を越える時代に、単独の取り組みでは限界がある。

 どんな人や集団が違法サイトをつくったのか。大量の新作漫画をだれがスキャンして、ネットに上げているのか。現時点では闇の中の実態解明も急がれる。

 出版業界も自分たちの電子コミック事業の魅力を磨く必要がある。例えば各出版社の漫画を一堂に集めたポータルサイトの開設や、定額で過去の漫画が読み放題というサービスはどうだろう。

 著作権の大切さを国民レベルで広げる啓蒙活動や教育も重要だ。「海賊版でタダ読みするのは万引きと違わない」と肝に銘じたい。

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