2018年5月22日(火)

省庁の対立超え持続可能な環境政策を

2018/4/18 23:51
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 環境政策の指針となる環境基本計画を、政府が6年ぶりに改定した。国際社会に共通の目標となる「持続可能な開発目標(SDGs)」や、温暖化防止の国際枠組み「パリ協定」を国連が決めたのを受け、その達成をめざす姿勢をはっきり打ち出したのが特徴だ。

 日本は大気汚染など公害を克服したが、再生可能エネルギーの導入などで遅れ、もはや環境先進国とは言い難い。温暖化対策のように省庁が対立し、政策の軸が定まらない課題も多い。新計画のもと政府が一丸となり、実効性の高い政策づくりに踏み出すべきだ。

 環境基本計画は過去4次にわたり定められてきたが、循環型社会の実現といった総花的な内容になりがちだった。第5次にあたる新計画は、3年前に決まったSDGsとパリ協定に沿うように中身を大幅に改めた。日本のめざす方向が明確になったのは前進だ。

 SDGsは2030年までに達成すべき17の目標を掲げており、温暖化対策や生態系保全など環境にかかわる項目が多い。パリ協定には、世界の温暖化ガスの排出を今世紀後半には実質的にゼロにする目標が、盛り込まれた。

 新計画は日本がこれらの目標を達成するため、経済の仕組みや地域づくり、暮らしなど分野ごとに重点戦略を掲げた。

 経済分野では、環境や社会に配慮した企業に優先的に投資する仕組みや、環境配慮型の「グリーン税制」を広め、再生エネルギーや省エネ技術の普及につなげる。

 地域づくりでは、地元の資源や人材を生かしてエネルギーの地産地消やリサイクルを進め「循環共生圏」を築くとした。

 今後、各省庁は基本計画を踏まえて政策をつくることになる。なかでも急ぐべきは、温暖化防止の長期戦略づくりだ。

 温暖化ガスの削減では、排出上限を課して超えた分を取引する仕組みや炭素税の導入を環境省が求め、これに慎重な経済産業省との間で平行線が続いている。主要国の大半は長期戦略をすでに示している。日本だけ先延ばしするわけにはいかない。

 基本計画をつくりっぱなしにせず、達成状況を点検し必要に応じて見直すことも欠かせない。従来は点検も各省庁まかせだったため、お手盛りの評価が目立った。検証のための指標をきちんとつくり、第三者が厳格にチェックする仕組みを設けるべきだ。

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