米ロは対立あおらず対話を

2018/4/17 22:52
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米国とロシアとの緊張が高まりつつある。きっかけとなったシリア内戦の先行きのみならず、国際情勢全般の不安定化につながりかねない。双方はさらなる対立を自制すべきだ。

米国が英国、フランスとともにシリアの化学兵器関連施設に空爆を実施した。アサド政権の後ろ盾であるロシアのスルコフ大統領補佐官は論文で「西側とのロマンスは終わった」と指摘し「地政学上の孤独という新たな時代に備えている」と警告している。

伏線はあった。ロシアによるクリミア併合、米大統領選への介入が指摘される「ロシアゲート」疑惑、英国でのロシア元スパイの暗殺未遂事件など互いの不信感は募っていた。

空爆をきっかけに米ロが軍事面での対立に発展することが懸念される。シリア内戦の泥沼化に拍車をかけ、欧州やロシアの隣国日本を含むアジアの安全保障にも影響を与える。双方は早期に対話の機会を設けるべきだ。

米ロとも引くに引けない事情があるのはわかる。トランプ大統領は秋の中間選挙をにらみ譲歩しにくい。プーチン大統領も経済に停滞感が漂うなか、国外に敵を作り求心力を維持する政治手法に傾斜しがちだ。

ただ、シリア空爆の際、米英仏軍は現地のロシア軍に被害が及ばないように配慮したもようだ。最新兵器で迎撃するとの見方があったロシア軍も動かなかったとロシア政府は発表した。直接衝突を避けたとみられる。事態が抜き差しならなくなる前でお互いが出方をうかがっている。

ロシアは2カ月後にサッカーワールドカップを開催する。外国から多くの観客と取材陣が訪れるはずだ。スポーツに政治色を帯びさせてはならない。プーチン大統領は対立をあおらず、主催国としての責任を果たすべきだ。

安倍晋三首相は5月に訪ロし、日ロ首脳会談に臨む予定だ。ロシアを孤立させないためにも、日ロ対話の重要性は増している。

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