2018年9月25日(火)

視聴者の利益を最優先に

2018/4/16 23:15
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 政府の規制改革推進会議が放送制度の見直しに向けた議論を本格的に始めた。

 ネット通信の速度が大幅に向上し、通信と放送を隔てる壁は低くなっている。技術や競争環境の変化にあわせて制度を見直すのは理解できるが、議論を深めるにあたり、視聴者の利益を最優先するという原則を肝に銘じるべきだ。

 まず重要なのは、良質なコンテンツの提供だ。ネットと競争条件をそろえるため、放送のみに課してきた政治的な公平などを定めた規則を撤廃する案も浮上したが、むしろ逆ではないか。

 2016年の米大統領選で、交流サイト(SNS)を通じた偽ニュースの拡散や、悪質な広告が社会問題になった。こうした事態を受け、ネット上の政治広告にテレビなどと同じ規制を課す検討が進んでいる。

 米国の例は質が低く間違った情報が増えると、ネット企業、利用者の双方にとって損失が大きいことを示している。単なる規制緩和ではなく、ネット企業も重要なコンテンツの流通の担い手と位置づけ、責任を求める枠組みが求められている。

 放送がどこでも視聴でき、なかでも民放は視聴者に直接の負担を求めることなく多様な情報を提供してきた経緯にも配慮が要る。

 米ネットフリックスなどネット企業がコンテンツ配信事業で存在感を高めているが、視聴には有料のネット利用契約が必要だ。

 費用を気にせず快適にこうしたサービスを使える光ファイバーの世帯普及率は国内で約6割にとどまる。スマートフォンも高齢者にはまだ十分に行き渡っていない。通信と放送が同じであるとの議論には現時点では違和感がある。

 これまでの議論には問題が多いが、放送も足元を見つめ直す必要がある。民放は良質なコンテンツを提供し、多様な視点を反映しているか。これまで以上に視聴者の声に耳を傾けることが重要だ。NHKもこうした課題に直面しているのは言うまでもない。

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