2018年7月20日(金)

日中首脳の往来へ一歩一歩信頼醸成を

2018/4/16 23:15
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 日中両政府は8年ぶりとなる閣僚級の「ハイレベル経済対話」を東京で開いた。5月上旬には日本で開く日中韓首脳会談に出席するため李克強・中国首相が訪日する方向だ。中国側の積極姿勢への変化もあり、準備が順調に進み始めたことを歓迎したい。

 2007年に始まったハイレベル対話はその後、2回開かれたが、沖縄県の尖閣諸島を巡る対立などから途絶えていた。今回は王毅国務委員兼外相のほか、習近平国家主席の側近である鍾山商務相、劉昆財政相も参加した。世耕弘成経済産業相は鍾山商務相と個別に会談している。

 米中貿易摩擦は日本を含むアジア経済にも影響を及ぼす。日中間の経済・貿易当局間の意思疎通には意味がある。ハイレベル対話の下で個別に具体的な課題に取り組む枠組みづくりを急ぎたい。

 中国主導で広域経済圏を形づくる新シルクロード経済圏構想(一帯一路)を巡っては、安倍晋三首相が第三国での日中協力を提起している。「一帯一路」は日米陣営の「自由で開かれたインド太平洋戦略」とライバル関係にあるものの、双方にメリットをもたらす運用が求められる。

 5、6月とみられる米朝首脳会談、これに先立つ南北首脳会談では北朝鮮の核・ミサイル開発問題が焦点になる。訪米する安倍首相はまずトランプ米大統領と核放棄に向けた緊密な連携を図るべきだ。中国の役割も重要である。日中間で率直に意見交換できる人的パイプづくりも課題になる。

 日中間の安全保障問題では、東シナ海での自衛隊と中国軍の偶発的な衝突を回避する措置が長い間、話し合われてきた。双方は「海空連絡メカニズム」の早期の運用開始に向けて詰めの協議を進めるべきだ。

 今年は日中平和友好条約の締結から40年に当たる。5月の日中韓首脳会談を機に日中首脳の相互訪問再開に道筋を付けたい。10年前には当時の胡錦濤国家主席が訪日した。習主席は5年前の就任以来、一度も訪日していない。

 信頼の醸成は一筋縄ではいかない。焦らず一歩一歩進めるしかない。6年前、中国で多くの日本企業が反日デモの標的になり、損害を被った。その傷に起因する不信感も残る。だが、世界2、3位の経済大国の首脳が定期的に話し合う枠組みは必要だ。それはアジアと世界の安定にも寄与する。

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